研究課題/領域番号 |
22K01672
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
伴 正隆 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50507754)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | クラウドファンディング / Bassモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、購入型クラウドファンディングプロジェクト(以下PJ)資金調達プロセスのモデル化と、PJ情報サイトから提供を受けた2万件の資金調達プロセスデータを用いた実証分析によって、どのような特徴のPJ が、どのようなプロセスを経て資金が調達されるかを明らかにする。このような知見が蓄積されることは、クラウドファンディングの資金調達手段としてのリスク低下、あるいは利用しやすさに繋がり、クラウドファンディング市場のさらなる拡大、ひいてはイノベーションが育ちやすい社会の醸成にも繋がることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、購入型クラウドファンディングプロジェクト(PJ)の資金調達について、各PJ資金調達プロセスの性質を明らかにすることである。PJ開始時点から終了時点に向けて資金が集まりゆく時間的経過を何らかの関数によって表現し、その関数の規定要素を実証分析によって特定することで、「どのような特徴をもつPJが、どのようなプロセスを経て資金が調達されるか」が明らかになる。 提案する関数についてはとくに、マーケティングの分野でよく知られたBassモデルを基本とする。これはパラメータの解釈性が高く、かつパラメータ節約的でシンプルな関数であり、これによってPJの資金調達プロセスをモデル化する。 2022年度はクラウドファンディングPJの資金調達プロセスデータと、PJの内容データを整理し、Bassモデルに適用することで問題の洗い出しを行った。データは日本の3大プラットフォームであるCAMPFIRE、READYFOR、そしてMakuakeの2017年から2019年までの約2万件のPJデータである。結果として、当初より想定していた、PJ期間終了時に起こる集中的な出資をBassモデルでは上手く表現できないことが明らかになった。そのうえで、クラウドファンディングのような期間が限られた普及プロセスを表現するようにBassモデルを改良したが、累積資金調達の曲線を表現しているにも関わらず、累積曲線が減少する個所が現れるなど、まだ改良の必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績の概要に記したように、現在開発途中の、有限期間の普及現象に対応したBassモデルは、累積の過程に負値が発生することがある。現在はこの不都合に対応すべく、提案する累積関数に負値が発生しないように制約を設けることや、パラメータの繰り返し推定を行うことなどを検討し試行している。また、Bassモデルがもつ3つのパラメータp, q, m にはそれぞれ、革新係数、模倣係数、潜在市場規模という意味をもつ。提案する関数の改良の過程において、Bassモデルのもつ解釈性が変わらないように工夫をしている。
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今後の研究の推進方策 |
有限期間Bassモデルの構築が完了したのちには、上記データに適用し、資金調達プロセスに影響する要素とそのパターンを分析する。同モデルによって2万件のPJそれぞれについて資金調達プロセスを構成するパラメータが推定されたならば、その推定値を目的変数としたベイジアン線形回帰モデルを構築する。説明変数にPJの内容を用いることで、どのようなPJで、Bassモデルがもつ革新係数が高いか、終了間際に出資が集中するかなどの関係性が推定される。 このような複数の統計モデルを重ねて解析する場合には、2つのモデルの同時分布を構成する必要があるが、ベイジアンモデリングでは効果的に推定可能である。さらに、安定した推定値を得るために初期値やハイパーパラメータの調整などの試行錯誤する手順が必要である。現在2万件のPJデータがあるので、2万件分のベイジアン非線形回帰モデルを推定する必要があり、計算能力の高いPCを複数台用意することや、マルコフ連鎖モンテカルロ法をGPUでの並列計算を用いて可能な限り効率的にモデル推定する。 また、資金調達プロセスは多様な形をしているので、誤差項にひとつの正規分布を仮定する単純な回帰モデルでは、構造を捉えきれないと考えている。そこでベイジアン潜在クラスモデルや、より自由度の高いディリクレ過程混合分布モデルといった、複数の確率分布の混合分布によるモデル化についても想定しており、これによって複数パターンの資金調達プロセスが明らかになる。
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