研究課題/領域番号 |
22K01674
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2023) 愛知教育大学 (2022) |
研究代表者 |
西尾 圭一郎 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (20453368)
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研究分担者 |
原口 華奈 大阪産業大学, 経済学部, 講師 (20909030)
佐藤 隆広 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (60320272)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | フィンテック / インド金融システム / デジタルエコノミー / ビジネスモデル / 金融機関の競争 / ノンバンク |
研究開始時の研究の概要 |
金融とITの結合であるフィンテックは「デジタルエコノミー」の中核的ビジネスとして期待されている。本研究ではデジタル化が進み国民ID制度の導入が進むインドをケースを分析し、デジタル化による金融サービスの変化、フィンテック企業の業務及び収益構造を含んだビジネスモデルの明確化、銀行、ノンバンクのフィンテック対応とビジネスモデルの変化を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は前年度に続き、インドにおける金融のデジタル化の現状把握およびフィンテック企業と競争関係にあるインドの金融セクターの現状分析を中心に調査を行った。とりわけ本年度は基礎研究に重点を置くことこととなった。 その成果の一つとしては、フィンテックサービスの提供者であるノンバンクの実態整理があげられる。フィンテックサービスの提供者は銀行等の既存の決済システムの提供者と、それらをベースとして新しいサービスを提供するノンバンクなどに大分類できる。しかし、インドのノンバンクについては、十分な研究が不足している。それはIMFなども認識しており、ノンバンクも視野に入れた金融システムの重要性を指摘している状態が、IMFセミナーにディスカッサントとして参加して明らかになった。そうした問題意識は、書籍の1章として世に出した。(「インドの金融システムにおけるノンバンク」佐藤隆広編著『経済大国インドの機会と挑戦』) また、基礎研究としては金融システムとデジタル化の関係の整理というものがあげられる。この点は、金融論の教科書を作成する中で意識的に取り上げた。(前田真一郎、西尾圭一郎、高山晃郎、宇土至心、吉川哲生『変わる時代の金融論』) そして、改めて本研究が注目される一つの要因であるインド経済・インドビジネスの特殊性についても、書籍として様々な業界を取り上げることで示すことができた。(佐藤隆広編著『経済大国インドの機会と挑戦』) そして、そうした専門領域での研究成果と並行し、学会や市民講座において関連する情報の発信も行った。 もちろん、こうした明示的な研究成果と並行する形で、インドの金融業界の定量的な経営分析についても、継続的にデータ整理等を行っており、次年度以降で具体的な分析に入れるように用意をしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は基礎研究が中心となったが、分担研究者を編著者とする書籍が出版され、研究代表者もその中でインドのノンバンクについての研究を発表した。また、研究代表者は複数人による金融論の教科書執筆に参加してきたが、それらが整理され、出版にこぎつけることができた。その教科書の中では明示的にデジタル化を取り上げた章を担当しており、改めて金融システム、金融業におけるデジタル化とは何であるか、一般向けにも分かりやすい形で再整理できたと考えている。 さらに、こうした活動が実を結んで、本年度にはIMFから発行された'India’s Financial System: Building the Foundation for Strong and Sustainable Growth'という書籍の出版記念セミナーが、IMFアジア太平洋事地域務所主催で行われたが、そこにディスカッサントとして参加し、インド金融システム全般についてコメントする機会を得た。そうした場においても、これまでの研究成果を再整理し、国際機関の研究者と議論することができたことも、これまでの研究が一定の実を結んでいることを示している。 時間の都合上、十分に進めることのできなかった研究もあるが(データ整理など)、一定の成果を出すことができているため、順調であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は下記の点に焦点を当て、研究を行う。 1点目は金融業のデジタル化において、最も基盤となる決済の面での変化を、現在生じつつある中央銀行デジタル通貨(CBDC)まで視野に入れつつ、いったん整理をすることである。決済手段を軸としたサービス展開は、既存の銀行業だけでなく、フィンテック企業においても重要である。そうした面でのインドの現状について、折り返し地点ということもあり、改めて整理を行っていく。 2点目は、フィンテックを含めたインドの金融システム全体の継続的な整理である。インド経済は発展を続けており、そうした中で金融業の競争環境の基礎となるインド金融システムの状況は、継続的に見続けていく必要がある。今年度から、日本証券経済研究所主催の「アジア資本市場研究会」に参加することになったため、そこで他の研究者の視点を得る意味でも、全体的なインド金融システムの整理と発信を行っていく予定である。 3点目は、定量的な研究への本格的な取り組みである。データの整理は行っているものの、十分に取れないデータなどもあり、本格着手に至っていない。そこを重点的に整理し、成果の発表まで至らなくとも本格着手を目指す。 4点目は副産物的なものであるが、インドで注目されつつある不動産市場の状況に影響を与える不動産金融などの概観である。不動産金融も含め、デジタル化によって変化が生じていることは間違いない。視野の広い研究とするべく、そうした点も目配せする。
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