研究課題/領域番号 |
22K01694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
藤岡 豊 西南学院大学, 商学部, 教授 (30320253)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | グローバリゼーション / 新冷戦体制 / 経済安全保障 / CAGEフレームワーク / ダイナミック・ケイパビリティ / Learning by teaching / 直感 / 海外子会社 / 社長 / 人事部門 |
研究開始時の研究の概要 |
経営学における意思決定研究は,第1段階の規範的意思決定論と第2段階の行動意思決定論を経て,第3段階の直感による意思決定論に進んでいる。本研究は,第3段階の直感による意思決定論をさらに精緻化する試みである。その核心をなす学術的「問い」は,「直感の有効性に影響を与える要因は何か」「論理思考と直感の関係性は何か」である。本研究は,高い不確実性をともなう国際経営の文脈,具体的には日本企業の本社人事部門が直感をどのように駆使しながら海外子会社の社長登用人事を行っているかという文脈において,これらの未解明の問いに答えようとするものである。
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研究実績の概要 |
令和5(2023)年度においては,筆者は日本経営学会から招待を受けて,第97回大会統一論題サブテーマ②「グローバリズムの中の日本企業」において,「グローバリゼーションの分化─日本の経済安全保障と日本企業─」と題する研究を報告した。その要旨は,次のとおりである。 国際経営史の大家,Jones(2005)によれば,①第1次グローバル経済(1880年ー1929年),②分断の時代(1930年ー1979年),③新グローバル経済(1980年ー)の3つの時代に分類できるという(p.20, 邦訳p.27)。しかし,③新グローバル経済は2015年で終了し,2016年から④再分断の時代が始まった可能性がある(吉原, 2021, p.298)。 2016年から始まった再分断の時代は,日本企業の経営活動に大きな転換を強いようとしている。最も大きな転換は,アメリカおよびその同盟国における経済安全保障への対応である。世界では,さまざまな資源の移動が阻害される中で,とりわけ法律や制度の面で両陣営の距離が拡大することが予想される。日本企業はその法律や制度の違いに対応する必要があり,とりわけ日本の経済安全保障への対応として,半導体に関するサプライチェーンの再構築が重要な経営課題となるだろう。経営学研究者にとっては,ロビイングなどの非市場戦略の研究や,心理学を応用したダイナミック・ケイパビリティ理論の深化の機会となる。経営学研究者はこの好機を利用して,経営学の新しい知見を積み上げなければならないと考える。 以上が研究の要旨である。筆者は日本経営学会から再び招待を受けて,その研究の論文化にも取り組み,『日本経営学会誌』に投稿した。その論文は『日本経営学会誌』第55号(経営学論集第94集),2025年8月10日刊行予定に掲載されることとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筆者は日本経営学会から研究報告と論文投稿に関して予期しない招待を受けることになった。しかし,その要請に応える過程においても,本研究課題である「海外子会社の社長登用人事における直感の有効性に関する研究」との関連性を意識して研究を進めた。 第1に,プロスペクト理論の理解を深められた。プロスペクト理論によれば,同じ程度の利得と損失を比べると,追加的な利得よりも追加的な損失を重く受け止めるという「損失回避性」がある。日本企業はこれまで中国に多大な生産投資を行い,最も多くの生産拠点を設立してきた(藤岡, 2021, p.147)。日本企業が中国の生産拠点をサプライチェーンから外す際に,サンクコストが強く意識されて,脅威や危機の感知が歪められる可能性がある。中国の生産拠点をサプライチェーンから外した企業と外さなかった企業の違いについて,プロスペクト理論を手がかりにして読み解き,感知に関する理論的改善を導けるかもしれない。 第2に,直感の効能理論の理解を深められた。直感の効用理論によれば,周囲の環境が不確実になればなるほど,人は直感を使ったほうが,将来の予測精度をあげて優れた意思決定ができる。中国の生産拠点をサプライチェーンから外すという前代未聞の意思決定に対して,日本企業は論理と直感を駆使して望むだろう(Kahneman et al., 2021)。その際,それぞれの日本企業は,論理と直感をどのように使い分けて,脅威と危機を感知しているのか。中国の生産拠点をサプライチェーンから外した企業と外さなかった企業の違いについて,直感の効能理論を手がかりにして読み解き,感知に関する理論的改善を導けるかもしれない。 本研究課題にとっても中心的な理論になりそうなプロスペクト理論や直感の効能理論について,別の研究の文脈とはいえ,以上のように理解を深められたのは大きな収穫だったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
以上の進捗状況を受けて,令和6(2024)年度においては,本研究課題の先行研究に関する文献研究を行うとともに,当初の予定どおりインタビュー調査を複数の企業へ実施したいと考えている。インタビュー調査によって得た情報は,事例研究の基礎として利用するとともに,質問票を設計するための基礎情報としても利用したいと考えている。
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