研究課題/領域番号 |
22K01695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 京都大学 (2023) 京都精華大学 (2022) |
研究代表者 |
國分 圭介 京都大学, 経営管理研究部, 特定准教授 (80822113)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 社会的リソース / 心理的リソース / コロナ禍 / 不安 / コンプライアンス / 文化的知性 / ライフスタイル |
研究開始時の研究の概要 |
以下の3点を明らかにし、海外現地法人の感染症対策に役立てられる資料を提示することを目的とする。①不安はコンプライアンスの実践を促すが、疲労とともに離職意思を高める。②従って、不安を煽って従業員を従わせるような方法は、短期的には感染対策において一定の効果を発揮しても、長期的には従業員の離職を促し、組織としての体力を失うことになる。③こうしたジレンマを脱するには、従業員が自ら進んでコンプライアンスに従い、またコンプランスの実践が組織の安全につながるという確信を持てるよう、心理的リソースと社会的リソースを整える必要がある。
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研究実績の概要 |
中間年度となる2023年度には、以下の2本の論文の執筆と発表を行った。これらの研究の成果は、別項で掲げる2本の国際的な媒体上で発表した。 1.社会的・心理的リソースが、コロナ禍の不安、コンプライアンス、離職意思に与える影響(基幹的論文): まず、初年度に実施し回収したアンケート調査の回答データを用いた分析と論文の執筆を行った。具体的には、2023年1月から3月までの武漢市の日本企業現地法人従業員813人(武漢2023)の意識と、2020年2月から5月までの中国東部および華南の同2,973人(中国2020)の意識を、各期間に実施したアンケート調査の回答データを用いて比較した。その結果、リソース保存理論に基づく分析モデルは、中国2020と武漢2023の両方に適用できることが示された。ただし、不安、疲労、コンプライアンス、離職意思と心理的および社会的リソースとの相関関係の大きさは両者で違いがあり、現地法人で働く従業員の意識の変化が示された。これは、管理者がパンデミックのステージに対応して人事管理を調整する必要があることを示している。 2.ライフスタイルと文化的知性の関係(補足的論文): 1は、見方を変えれば、海外駐在員が現地従業員の意識に敏感に気づき、変化に対応することの大切さを示すものである。そこで、日本のビジネスパーソン142人から得られたアンケート調査の回答データを用いて分析を行った結果、性格(好奇心や根気)や国際経験(海外での留学・就労期間)に加えて、ライフスタイル(食事バランスや歩行頻度)が文化的知性(CQ)と有意な関連があることが示された。さらに、食事バランスがCQ向上に及ぼす影響は、海外経験の少ない人ほど大きいことが示された。これは、異文化マネジメントにおいて、駐在員、とりわけ海外経験の少ない駐在員の心身の健康に注目することの大切さを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中間年度となる2023年度には、(1)先行研究の整理と補足的論文の執筆・発表、(2)基幹的論文の執筆・発表、(3)新たなアンケートの作成・実施を行った。
(1)・(2)については、上の「研究実績の概要」で記した。(3)については、日系現地法人に勤務する駐在員向けアンケートの作成と配布・回収を行った。アンケートには、先行研究を参考に、コロナへの不安や疲労、コンプライアンス、心理的・社会的リソース、離職意思に加え、ライフスタイル、文化的知性や感情的知性、異文化適応、パフォーマンスについて項目を作成し、一部、バックトランスレーション法で英語から日本語に翻訳したものを用いた。アンケートの配布・回収は、2023年12月12日から2024年3月25日までにかけて行われ、8か国184人から回答があった。
既に基幹的な論文の執筆まで終わっているため、当初予定していた現地法人の従業員に加え、彼らを管理する立場にある駐在員にまで対象を拡大させて調査・分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度には、2023年度に執筆した基幹的論文の国際ジャーナル掲載を目指す。また、2023年度に新たに実施・回収したアンケートデータを用いた分析と論文の執筆を行う。
加えて、より長期的視点で、コロナ禍の前後3年間ほどの海外現地法人の従業員の意識の変化に関するデータを入手し解析することで、本研究の成果をさらに質の高いものにしたい。
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