研究実績の概要 |
企業・組織による不祥事・大惨事・危機に関する研究は各領域で切磋琢磨し,知識が蓄積されている。しかしながら,一方で同じ組織による不祥事・大惨事・危機は繰り返され,さらに,同様の不祥事・大惨事・危機が業界・国を超え,繰り返されているという事実がある。結果として,不祥事・大惨事・危機の影響に対する取り組みならびにレジリエンスは多種多様であり,「普遍的」な知識にすることは難しいと考えられている。理由は,異なった研究領域に内容が細分化されているからである。本研究においては, 異なる研究領域を融合し, 普遍主義的なアプローチをとりながら,学術研究から実践への学習の促進, さらに, 実践から学術研究への知識の転換・蓄積を目指す方法論を構築する。特に,「過去から現在・未来への学習をどう促すか」という点を重視する。 企業・組織による不祥事・大惨事・危機を普遍主義的に学習するために,従来の発想においては,「科学的知識」とする基準の「一般性」をまず確立する必要がある。これは,論理実証主義を土台にする考え方であり,計量的手法がとられることが多い。さらに,計量的検証を繰り返す,もしくは,サンプル数を増やすことにより,「普遍」であると考える傾向にある。さらに,検証済の科学的知識として蓄積され,それが学習につながると考えられている。しかしながら,本研究においては,別の普遍主義的学習の可能性を探究する。本年度は,危機管理研究から, 当事者が実践で学習するメカニズムに焦点を当て,不祥事・大惨事・危機からのレジリエンスの可能性を探究した。
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