研究課題/領域番号 |
22K01710
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
古田 駿輔 早稲田大学, 商学学術院, 助手 (40879673)
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研究分担者 |
大月 博司 中央学院大学, 商学研究科, 教授 (50152187)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 制度維持 / 新制度派組織論 / 経営組織論 / 歴史的組織研究 / 正統化 / 回帰メカニズム / コンテンツ産業 |
研究開始時の研究の概要 |
制度維持の研究では、制度の変化に直面すると、組織は既存の制度を維持すること(制度維持事象)が明らかになっている。しかし、先行研究は事例記述的な研究が多く、なぜ制度維持事象が生じるのかについて理論的な説明が十分になされていない。そこで、本研究では、「制度維持と正統化問題」、「制度維持とメカニズム」を主要研究課題とみなし、新制度派組織論・組織変革論などをベースとして、コンテンツ産業(ゲームソフト、映画作品、演劇作品)を対象に分析を進める。本研究によって制度維持の回帰メカニズムが理論的・実証的に解明されると、制度維持研究と新制度派組織論への実務的貢献と実務的なインプリケーションが期待される。
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研究実績の概要 |
これまで、本プロジェクトでは、新しい実践が登場してきたにもかかわらず、なぜ/どうして既存の制度が維持されるのかに関する理論的・実証的研究を進めてきた。2023年度は、①前年までの研究内容の精緻化と学会報告、②これまでの調査+新しいリサーチサイトにおけるインタビューと人事関連の文献調査に注力した。
まず①に関して、これまでの国内・国際学会等での研究報告内容をさらに精緻化する作業を進めた。「既存の制度がなぜ/どのようにして維持されるのか」に関しては、これまでの国内外の学会を通して、先行研究で十分に明らかにされてこなかった問題意識であることが確認できていたが、設定した理論仮説及び定性分析については改善の余地が大幅にあることが分かっていた。この点を踏まえ、当該年度では、そもそも「制度とは何か」に関する理論研究を主軸に検討を行った。新制度派組織論だけではなく、比較制度、新制度派経済学、社会学や政治学における制度概念に関する文献を幅広く収集し、新制度派組織論における制度概念では、「シンボリズム」の重要性が浮き彫りになった。この点を踏まえた定性研究の成果をBritish Academy of Managementで報告しただけではなく、理論仮説を研究会などでも適宜報告し、内容の精緻化を図った。また、研究成果も出版できた。
次に、基本的には映画産業における特撮ジャンルを制度と仮定して研究を進めていたが、理論の頑健性や妥当性を高める必要性があるため、リサーチサイトを2つほど増やすことにした。一つは大学制度(横浜のプロジェクト)であり、もう一つは人事制度である。大学制度については、インタビュー調査を行い、人事制度については雇用保障等に関する文献を収集した。いずれも、日本の大学・企業において維持されてきた現象であり、本研究で対象とする制度維持メカニズムに新たな示唆を提示できることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究以外の点に時間を取られることがあったため、進捗が遅れることが想定できたが、おおむね順調に進んでいるといいだろう。理由としては、次の2点である。第一に、「制度」概念に関する検討を大幅に進めることができたからである。先行研究では「制度」概念は曖昧にしか定義されていなかったこともあり、新制度派組織論における「制度」概念が何を指しているか不透明な部分が多かった。他分野の「制度」概念との比較により、「シンボリズム」をキーとした制度概念を構築できた。また、新たなリサーチサイトの拡大により、より理論の頑健性や妥当性を高めることが出来そうである。また、新たなリサーチサイトについても、制度維持と親和性も高く、今後の研究発展に大きく貢献できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き理論的検討を行うことに変わりはない。次年度の目標は次の2点である。①「制度」概念に関する論文執筆と投稿である。すでに執筆は行っており、本年度中に学術雑誌に投稿し、査読付き論文として採択されることを目標とする。②引き続き、制度維持の理論検討と定性分析を行う。特に、海外で学会報告を行ってきた特撮の研究は論文化できる目途ができたため、本年度中に論文化し、国内外の学術雑誌に投稿する。新しいリサーチサイトについては文献調査に加え、インタビュー調査を行い、今後の論文化作業ができるように、理論および分析作業の精緻化を高めていく。
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