研究課題/領域番号 |
22K01713
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
橋場 俊展 名城大学, 経営学部, 教授 (10364275)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 従業員による発言(employee voice) / 労働組合 / 非組合型従業員代表 / ダイバーシティ・マネジメント / 従業員エンゲージメント / 従業員による発言機会 / 非組合型従業員代表制度 / 向社会的発言 / 苦情処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古くは産業民主主義、近年では従業員エンゲージメント向上や人材定着の観点から関心を持たれている従業員による発言機会について、近年の研究動向をレビューするとともに実態調査を行い、その現状把握に努める。併せて、調査を通じ特定された先進的企業の取り組みについて定性的な調査を行い、見出された知見を踏まえ、企業側と従業員側双方に資するような発言機会をコンセプト化、モデル化することを試みるものである。
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研究実績の概要 |
編集作業の遅れや出版社側の事情により当初予定した2023年度中の刊行は適わなかったものの、「労働組合と労使関係」というタイトルで共編著書所収の原稿を執筆することができた。いうまでもなく、労働組合は、本プロジェクトの研究対象である「従業員による発言(employee voice:EV)」のための最重要な手段となる。 本稿ではこの労働組合について、第一に、主要な機能、長期にわたる組織率低迷とその背景を明らかにした。第二に、上述の組織率低迷を受け注目されるようになった非組合型従業員代表(non-union employee representation:NER)とこれを重視する見解について検討し、NERが労働組合をさらに苦境に追い込みかねないという両者の難しい関係性や、NERが結局のところ創設、運用、存続に関して経営側の意向に左右されることによる発言手段としての決定的な限界を指摘した。第三に、このNERと比較する形で、独立性、規模と諸資源、成果という観点から労働組合の有する発言手段の優位性を見出すと共に、近年存在感を示している米国の組合活動から、日本の労働組合への示唆を析出した。すなわち、短期的にはWLB推進やエンゲージメント向上、自律的キャリア形成支援といった今日的なHRM上の課題に率先して取り組むこと、中長期的には、職種別労働組合や産業別労働組合という世界では当たり前の組織形態に脱皮を図ることである。 以上の成果とは別に、数年来注目を集めているジョブ型雇用について、やはりEVとの関係性を念頭に考察を進めた。にわかにジョブ型雇用を是とする見解が広がりつつあることへの疑念や異論を基調とする研究でとなるが、このように考える根拠の一つとして、我が国のEVの有り様とジョブ型雇用との間のミスマッチに着目している。この分析をより精緻化し2024年度中に研究報告(学会発表)を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、労使関係(IR)研究、HRM研究、組織行動(OB)研究という3領域の知見やアプローチを用い、多角的・統合的に日本企業におけるEVを考察することを主たる目的としているが、これまでのところIR研究の先行研究レビューに手一杯の状況であり、後二者の領域の文献収集・渉猟が進んでいない。 他方、もう一方の研究の柱となる我が国におけるEVの実態把握についても、学部運営業務等との兼ね合いから出張の機会を得られなかったことから研究の遅滞を招いている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、HRM、OB分野の先行研究レビューを進め、本研究としての統合的なEV分析アプローチを確立することが喫緊の課題となる。 次に、こうしたアプローチを用いてEV機会の有無、充実度、活用/実践程度、並びに従業員エンゲージメント度数や人材定着度等の観点から先進的な取り組み事例を選定し、それらを対象に定性的な分析を試みたい。
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