研究課題/領域番号 |
22K01723
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上林 憲雄 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00243296)
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研究分担者 |
庭本 佳子 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (70755446)
平野 光俊 大手前大学, 現代社会学部, 教授 (10346281)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | グローバル市場主義 / ポスト働き方改革 / 人的資本開示 / 人的資本経営 / 人間 / 働きがい / 人的投資 / 日本的経営 / 働き方改革 / 見える化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,グローバル市場主義にあえぐ日本企業が置かれた現況を念頭に置き,ポスト働き方改革時代の人事システムおよび組織の在りようについて,具体的なデータを聞き取り調査等によって収集・分析し,どこにどういった問題があるか,またそれらの諸問題を克服して組織の業績改善をなし,組織力を回復させ勤労者に輝きを取り戻し,企業再生へと繋げていくにはどうすればよいかについて,その具体的方途を経営学的に検討する。とりわけ,いかにして企業組織に於いて,数値目標として示された量的次元と,働きがいや人間らしさといった質的側面を統合させることが可能になるかについて検証し,一般にも解りやすいモデル化を試みる。
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研究実績の概要 |
グローバル市場主義のもとで日本企業がどういった状況に置かれているか,とりわけポスト働き方改革時代の人事システム及び組織の在りようについて,前年度の成果を踏まえながら,とりわけ人的資本経営の観点から検証を行った。 その結果,いくつかの新しい事実が明らかになった。第一に,上場企業に対し人的資本開示が義務付けられたものの,多くの企業において開示されている項目は女性比率や女性役員比率,残業時間等の極めて形式的な数値にとどまっており,優れた人的資本経営に結びつくような指標についてはほとんど開示されておらず,いまだ手つかずの様子見状態にあることが明らかになった。第二に,今後の日本企業における人的資本が有用で活躍できる存在となるためには,組織の戦略の方向性と人事管理業務とを連携させることの困難さを経営層が認識し,組織内の共通言語である数値に生身の人間の声という質的な情報をいかに乗せていくのかを深く考える必要があることがわかった。加えて,第三に,人的資本への単なる投資にとどまるのではなく,資本をいかに活用していくかという側面が重要であることも明らかになった。現況では,人的資本への投資の側面ばかりに注目が行きがちであるが,投資は経営にとっては出発点に過ぎないのであり,他資源とも結びつけながらいかに経営目的達成へ向けて努力していくかという視点がこれからは必要となるということである。 これらの成果は,2024年3月2日に「これからの日本の人的資本経営を考える」と題して開催されたシンポジウムにおいても一部公開されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,日本企業より人的資本やその働き方に関するデータを収集し,分析が進められており,おおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
これから人的資本経営の普及実現へ向けて、ポスト働き方改革における人的資本経営のあり方として,①見える化促進プロジェクト(人的資本の開示の在り方および可視化・指標化の推進)、②働きがい向上プロジェクト(可視化・指標化の推進の一方で、蔑ろにされがちな、働く人々の働きがいや幸せの追求)、そして③新しい人的資本経営の実装プロジェクト(見える化促進と働きがい向上の同時最適化とその深化・発展)を具体的に進めていきたいと考えている。 とりわけ,日本企業における組織・人事の現況を各企業が自身で診断できるような自己診断システムを開発し,それらを踏まえ,各社に対するコンサルテーションや,問題点の解決手法の分析,理論化等を可能な限り進めていけるよう,具体的に構想している。
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