研究課題/領域番号 |
22K01725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
篠崎 伸也 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (10636898)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 内部留保(保有現金) / 内部留保 / 保有現金 / 財務政策 / コーポレートガバナンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は上場企業において内部留保が過剰に蓄積されているという問題に焦点を当て、この問題が財務政策やコーポレートガバナンスに与える効果について実証分析を行う。具体的には企業ごとに内部留保の水準、キャッシュフローの変化が内部留保の変化に及ぼす効果、内部留保の市場評価額を測定し、互いにどのように関係しているか検証する。さらにこれらの要素が財務政策、株主・取締役会構成に与える影響を計量分析する。
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研究実績の概要 |
本年度は前年度から構築していたデータセットを用いたデータ分析と完成が遅れていたサーベイ論文の執筆に時間を費やした。サーベイ論文は主に現金の市場価値に関する先行研究を中心に整理し、「現金の価値に関する先行研究のレビュー-推計方法と決定要因の整理を中心に-」というタイトルで『佐賀大学経済論集第56巻4号』に掲載された。本論文の結果は次のとおりである。 第1に現金の市場価値の推計方法として知られる2つのモデル(Pinkowitz et al.[2006]とFaulkender and Wang [2006])について、それぞれ推計上のメリットとデメリットがあることが判明した。前者のモデルは使用する代理変数のデータが揃えば比較的容易に推計できるというメリットがある一方で、変数の内生性やリスクプレミアムの時系列的な変化が考慮されていないことが問題点として挙げられる。他方、後者のモデルはリスクプレミアムの変化を考慮している点でメリットはあるものの、推計期間によって市場価値の推計値が大きく変わるという問題点を含んでいる。第2にこれらのモデルで推計された現金の価値はそれぞれ異なるものの、Faulkender and Wang [2006]のモデルが主流でこのモデルによる実証結果が多く報告されていることを発見した。第3に現金の市場価値も保有現金の水準の決定要因(成長性、リスク、資金制約、会計基準、株式の流動性、コーポレートガバナンスの要因[取締役会の多様性、経営者報酬、機関投資家、製品市場の競争度、CSR活動など])の影響を受けることが明らかになった。 データ分析については現在、現金の価値に関する分析を進めており、研究成果を論文にまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度も前年度に引き続き、授業の準備、校務、コロナ禍等で心身のバランスを崩した学生の修学相談などに少なからず時間を割くことになったためである。
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今後の研究の推進方策 |
データセット自体はすでに完成しているので、授業の準備、組織運営、修学上のケアに関わる時間を念頭においてうまく時間をやり繰りしながら計量分析を進めていく。分担できる業務を明確にし可能な限り研究に割く時間を確保するとともに、プログラミングを新たに勉強することで分析時間の省力化を図る。
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