研究課題/領域番号 |
22K01740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
宇山 通 九州産業大学, 商学部, 准教授 (50584041)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 自動車企業 / 開発・設計 / プラットフォーム / モノコック / ラダーフレーム / 製品群フロントローディング / 部品共通化 / 市場適合・多様化 / コスト抑制・共通化 / フロントローディング / 設計の転換 |
研究開始時の研究の概要 |
多様で変化する需要への対応とそれに伴うコストアップ抑制の両立は,現代製造企業の主要課題である。2000年代後半以降自動車企業各社は,製品群の共通内容を設計初期に決める製品群フロントローディングで上記両立を進めたことを申請者は明らかにした。 ただしなぜ製品群フロントローディングへ転換したのかは未解明であった。後の予備調査より2000年代中頃設計の方向(市場適合かコスト抑制か)が偏っており,その解消に各社が迫られたことが上記転換の要因と推察している。 そこでまず“方向の偏り→設計転換”を実証し,次にそれを妨げる条件を転換がみられなかった事例から示すことで,設計の発展過程を有効範囲付きで理論化する。
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研究実績の概要 |
自動車の設計は,2000年代前半までと2000年代中頃から2010年代末までとにおいて,性格が異なる。後者では,個々の製品の設計前に,製品群の共通部分の設計に時間を割くようになった。このように製品群の設計プロセスの初期に負荷を集中させるという意味で,2000年代中頃から2010年代末には,製品群フロントローディング設計がみられるようになった。 この製品群フロントローディング設計への転換要因を解明することが,本科研費の研究の目的である。目的達成に向け,2022年度の研究では,上記設計への転換を果たした自動車企業3社を取り上げ,転換要因を抽出した。2000年代前半までに,多様化・市場適合を過度に進めたり,あるいは逆に,共通化・コスト抑制を過度に進めたりしたこと(以下,設計の偏りと表記)への反省として,その状況を打破するために,製品群フロントローディング設計が採用されるに至ったことを論じた。 しかし,製品群フロントローディング設計を採用した自動車企業のすべてにおいて,打破すべき設計の偏りがみられたのだろうか。また,それがみられなかったとすれば,なぜか。これらの解明により,設計の偏りが製品群フロントローディング設計をもたらす際の条件を提示できる。 そこで,この条件の特定に必要な最初の工程として,2023年度の研究においては,製品群フロントローディング設計を採用しながらも,一貫して共通化・コスト抑制を続けた自動車企業の存在を示した。具体的には,GMのプラットフォームの多様性が,1990年代後半から2010年代末にかけていかに推移してきたのかを分析した。 結論として各プラットフォームがカバーするボディサイズ(全長に着目)の多様性も,各プラットフォームがカバーするモデルの価格帯の多様性も,増大傾向が確認された。この傾向は,モノコック構造よりもラダーフレーム構造の車両において顕著であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に示した計画では,2022年度において,モデル群フロントローディング設計の採用要因を解明すること,2023年度・2024年度において,その要因が妥当しないケースを分析することを掲げていた。後者の妥当しないケースの分析において,「研究実績の概要」欄の第4段落に示した通り,最初にすべきことを実施したため,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」の第3段落に示した製品群フロントローディング設計を採用しつつも,打破すべき設計の偏りがみられなかった背景の解明が,今後の研究の方向となる。 具体的には第1に,モデル数の推移,各モデルの販売台数の推移とプラットフォームの守備範囲との関係を分析することである。この分析を通して,後者の守備範囲を広げ続ける(プラットフォームの多様性を増大させ続ける)動機を解明する。 第2に,その守備範囲を広げ続けながらも,過度な共通化・コスト抑制が問題にはならなかった理由の解明である。そのために,ラダーフレーム構造のピックアップトラックに対するニーズの多様性,同じくラダーフレーム構造のSUVに対するニーズの多様性とラダーフレーム構造の車両特性との関係を分析する。
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