研究課題/領域番号 |
22K01741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
奥井 秀樹 久留米大学, 商学部, 教授 (30411713)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 組織市民行動 / 状況要因 / 生起メカニズム / 利他的行動理論 / 否定的側面 / ニューノーマル時代 / ポストコロナ社会 / 組織市民行動の定義 |
研究開始時の研究の概要 |
組織に対する成員の自発的な貢献行動である組織市民行動は、組織の生産性を左右する重要な概念であり、近年、研究がなされる機会が増えてきている。 本研究では、状況要因に着目した分析視角から、ポストコロナ社会のニューノーマル時代において生じる状況の変化とそれが組織市民行動の生起メカニズムに及ぼす影響について考察し、これからの組織市民行動研究の在り方を提示することを試みる。
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研究実績の概要 |
近年、日本においても成員の組織行動についての基本的な概念として広く認知されるようになった組織市民行動 (organizational citizenship behavior: OCB) という概念がある。組織に対する成員の自発的な貢献行動である組織市民行動は、組織の生産性を左右する重要な概念である。 本研究は、状況要因に着目した分析視角から、ポストコロナ社会のニューノーマル時代において生じる状況の変化とそれが組織市民行動の生起メカニズムに及ぼす影響について考察し、これからの組織市民行動研究の在り方を提示することを試みるものである。 本研究では、研究期間内において、第1に、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方とはどのようなものかというテーマに関連する資料を幅広く収集して整理・分析すること、第2に、状況要因に着目した分析視角から、理論的検討を通じて、新しい働き方の普及によってどのような状況の変化が生じて、それが成員の組織市民行動にどのような影響を及ぼすと考えられるのかを明らかにすること、第3に、既存の組織市民行動研究の意義・限界を整理したうえで、ニューノーマル時代の組織市民行動研究がクリアーしなくてはならない課題を明確化して、研究の発展の方向性を提示すること、の3点に取り組む。 4年間の研究期間の2年目である当該年度においては、まず、前年度に引き続きポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方に関連する基礎的な資料の収集・整理を行った。次に、前年度に構築した状況要因が成員の組織市民行動に及ぼす影響について分析・考察するための理論的枠組みを基礎として、資源配分が原因となって生じるタイプの組織市民行動の否定的側面について、問題の発生条件と対応方法を明らかにした。そして、組織市民行動の定義に着目して、組織市民行動に否定的側面が存在する根源的な理由を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で取り組む課題は、第1に、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方とはどのようなものかというテーマに関連する資料を幅広く収集して整理・分析すること、第2に、状況要因に着目した分析視角から、理論的検討を通じて、新しい働き方の普及によってどのような状況の変化が生じて、それが成員の組織市民行動にどのような影響を及ぼすと考えられるのかを明らかにすること、第3に、既存の組織市民行動研究の意義・限界を整理したうえで、ニューノーマル時代の組織市民行動研究がクリアーしなくてはならない課題を明確化して、研究の発展の方向性を提示すること、の3点である。 4年間の研究期間の2年目である当該年度においては、これらの3つの課題のうち、第1と第2の課題に関連するものを中心に研究活動を行った。 まず、第1の課題に関連するものとして、前年度に引き続きポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方に関連する基礎的な資料の収集・整理を行った。その成果は3年目に学会発表の形で公表する予定である。 次に、第2の課題に関連するものとして、2本の論文を執筆して、状況要因と組織市民行動の関係についての研究を深めた。1本目の論文である「社会的交換型の組織市民行動と資源配分―問題の発生条件とその対応―」では、利他的行動理論を応用した分析枠組みを用いて、資源配分が原因となって生じるタイプの組織市民行動の否定的側面について、問題の発生条件と対応方法を明らかにした。2本目の論文である「組織市民行動の定義と否定的側面の関係―結果の予測可能性の視点から―」では、組織市民行動の定義に着目して、組織市民行動に否定的側面が存在する根源的な理由を明らかにした。 これらの成果は、今後、第3の課題についての研究を進めていくための基礎となるものであることから、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している。」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に特に大きな変更はなく、3年目以降も当初の研究計画通りに研究を進めていく予定である。 3年目以降は、本研究で取り組む第1の課題に関連するものとして、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方とはどのようなものかというテーマに関連する資料を体系的に整理して分析することに注力する。それによって、ニューノーマル時代の働き方はこれまでとはどのように異なるのか、そこではどのような状況の変化が生じているのかを明らかにする。そして、第2と第3の課題に関連するものとして、状況要因に着目した分析視角から、理論的検討を通じて、新しい働き方の普及によって生じた状況の変化が成員の組織市民行動に及ぼす影響と、ニューノーマル時代の組織市民行動研究がクリアーしなくてはならない課題を明確化して、研究の発展の方向性を提示することに取り組む。 研究環境面にも特に大きな変化はない。現勤務先の個人研究室、図書館での文献複写・取り寄せ・学術論文データベース等のサービス、そして、コピー機・プリンター等の事務機器を利用することができる。研究資料については、これまで組織市民行動に関する研究を行ってきたことによって必要最低限の資料は揃っている。過去に数度実施した組織市民行動に関する質問票調査のデータも分析に使用しやすい形に整理して保有している。 また、現勤務先からは、研究時間確保のために土曜日を含めて週に3日の研究日を与えられており、個人研究費として1年につき48万円の給付を受けている。エフォートが30%では足りずに研究が予定通りに進まない場合には、40%程度まで引き上げることが可能である。
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