研究課題/領域番号 |
22K01778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
近江 貴治 久留米大学, 商学部, 准教授 (50613832)
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研究分担者 |
福田 晴仁 桃山学院大学, 経営学部, 教授 (70508887)
上園 昌武 北海学園大学, 経済学部, 教授 (00314609)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脱炭素社会 / 物流CO2排出量 / CO2排出量算定 / 定量的政策評価 / 標準化 / モーダルシフト / 地球温暖化対策計画 / カーボンバジェット / 国際標準化 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に脱炭素の潮流が強くなっている現在、物流でもドラスティックな対策が求められており、国単位のCO2排出量マネジメント(マクロ)と個別対策(ミクロ)のリンクを明確にして進行管理していく必要がある。一方で、企業等では気候変動に関する情報開示に対応せざるを得なくなっており、その国際標準化も進展している。 本研究では、物流からのCO2排出量算定法を体系化し、個々の政策・対策の効果と、国全体のCO2排出量マネジメントとの関係を分かりやすく示すことを目的とする。併せて、関連する標準化の動向も把握し、今後の政策形成と企業の取組みに資することを目指す。
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研究実績の概要 |
気候変動対策の迅速性については、IPCC AR6の内容を基にこれまでの研究実績を踏まえつつカーボンバジェットの観点から極めて早急に取り組むべきことを明らかにした。 輸送活動からのCO2排出量算定法は、ISO14083のワーキンググループメンバーである産業環境管理協会と連携しつつ、日本の既存制度を組み込めるよう意見を提出し、一部にそれが反映された形で本年3月に正式発効した。 物流における排出量算定法に係る諸問題は、GHGプロトコル、LCA、Well to Wheel評価等の相互関係を整理し、それぞれどのような目的、場面で使用すべきかを明確にした。輸送手段別のCO2排出原単位に係る誤謬等を論じ、個々の対策の排出削減率だけでなく、当該分野や対象となる活動の実態と規模等からポテンシャルを定量的に把握する必要性を明らかにした。また、その視点をもとに陸上輸送を中心に国内外の対策の動向を補足しつつ、削減率、ポテンシャル、技術成熟度の視点から整理するとともに、政府が策定した「地球温暖化対策計画」の実現性と妥当性を分析した。とくに、一般に期待感が強いモーダルシフトについては、速やかに実施できる対策であるものの、鉄道、船舶および比較対象となるトラック輸送いずれもCO2排出原単位やその利活用に多くの問題があり、対策効果や推進方策を改めて考えなおす必要性を示した。これら一連の成果は、本年9月に書籍として上梓する予定である。 一方、再生可能エネルギーの確保とその公平・公正な利用・消費に係る調査をオーストリアを中心に進め、今後のエネルギー供給・利用のあり方を物流にも反映させる基礎として位置づけた。また、モーダルシフトの担い手の一翼となり得る臨海鉄道の経営状況を分析し、論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍において海外渡航が難しく、現地での情報収集や学会報告等が実施できなかったが、国内で入手可能な資料・情報に基づき研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今秋出版予定の書籍において、脱炭素物流に関する現状、問題・課題等を明確化したため、CO2排出量の算定目的、排出量の捉え方、用途に応じた利活用法などの枠組みに関しては一定の整理が行えている。 今後はISO14083等の整合性を図りつつ、ミクロでの対策とマクロでの排出量・政策マネジメントをリンクさせた体系化に向けて、個々の対策の排出削減率と国レベルでの排出削減量が連動する評価システムの枠組みを目指し研究を進めていく。とくに算定法の標準化が進む欧州の動向を把握しつつ、物流の脱炭素対策として有力視される技術を適切に評価できるよう留意する。併せて、欧州等への調査や国際学会での研究報告に取組み、できるだけ多くの視点、議論を取り込んでいく。
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