研究課題/領域番号 |
22K01780
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大森 明 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (00340141)
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研究分担者 |
八木 裕之 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (60210217)
植田 敦紀 専修大学, 商学部, 教授 (50591575)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自然資本会計 / 生物多様性 / 生物多様性会計 / サステナビリティ会計 / 非財務情報 / 生態系サービス / 生物多様性会計モデル / サステナビリティ会計基準 / 環境財務会計 / SEEA / TNFD / DPSIRフレームワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生物多様性保全の源(森林、漁場、水系等)が賦存する空間を対象とした生物多様性会計モデルを構築し、各経済主体が生物多様性の状況を把握し、その保全と利用に資する意思決定とそれに基づく活動の検証に資する情報を生み出す仕組みを提案する。このモデルの導出には、環境指標選択の有力なツールであるDPSIR枠組を用い、各経済主体の活動が及ぼす生物多様性への正と負の影響(フロー)と、当該空間の状況(ストック)とを関連付ける。DPSIR自体は物量情報を基本とするが、ここに昨今展開している自然資本の経済評価のアプローチを取り入れ、貨幣情報との連携を図る。
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研究実績の概要 |
今年度は昨年度に引き続き、変化の激しい自然資本会計の概念整理を継続し、その基礎概念を明確化した。具体的には、植田(2024a)において自然資本会計におけるマクロ的視点とミクロ的視点の整理や、自然資本会計と企業経営との関係の明確化を図った。特に、マクロとミクロの自然資本会計の双方において、自然資本への経済主体の依存と影響をストックとフローの両面から把握し、それを貨幣的に測定する仕組みとして自然資本会計を位置付けた。また、植田(2024b)において、生物多様性に焦点を当てて、自然資本会計との関係性を含め、生物多様性会計の基礎概念を整理し、その基礎概念も明らかにすることで、自然資本会計の実社会への適用に向けた下準備を行った。 さらに、昨年度、大森(2022)で提示した自然資本会計に関するフレームワークを、自然公園、水源、漁場などの自然空間に適用できるかどうかを検討した。具体的な場所を想定し、そこでのストックとフローをどのように測定すべきかを棚卸した。そのために、先行研究の分析を続け、これまでに企業レベルとしてはスウェーデンの紙・パルプ業における自然資本会計の導入、企業の所有する土壌の健全性を対象とした自然資本会計の試算、さらにはオーストラリアにおけるウール製産業という農業部門への自然資本会計の適用など、自然資本会計の適用対象ごとのモデルの特徴を明らかにしてきた。こうした研究を踏まえ、現在は、詳細に分析する対象の自然空間の選定を行っているところであり、自然資本会計の適用に関しては次年度に行う予定である。 さらに自然資本に対する政府の規制と企業との関係を把握するために、中国における排出量取引制度の及ぼす企業の環境パフォーマンスへの影響を明らかにする研究も行い(Zheng, et al., 2023)、自然資本パフォーマンスと企業経営に対する規制や制度との関連性についての示唆を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も自然資本会計の基礎概念の明確化に時間を要したため、具体的な自然資本ストックとフローの測定対象となる自然空間に対する自然資本会計の適用には至らなかった。また、企業を対象とするTNFD勧告が公表されて間もないこともあり、比較分析可能な企業事例が揃わなかったことも遅れた原因の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、投資家を対象としたサステナビリティ情報開示の進展を踏まえ、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の現状と課題を明らかにするとともに、漁場や森林資源といった個別具体的な自然資本の源を対象とした自然資本会計のケーススタディを行い、生物多様性会計モデルを導出するために必要なデータを収集し、課題と展望を明らかにする。 本研究においては、さまざまな生物多様性の源である自然資本に適用可能な会計モデルを導出することを目的とするため、上記のような実践的な取組を展開させるとともに、会計理論としてのベースの構築も図る。
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