研究課題/領域番号 |
22K01782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂口 順也 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10364689)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 組織間関係 / マネジメント・コントロール / オープンブック会計 / 取引相手の選択 / 経験的研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、取引相手の選択が、オープンブック会計の実施に与える影響を経験的に検討することにより、国内外の管理会計研究の進展とともに、取引関係の再編に直面する企業実務の理解に貢献することを目的とする。すなわち、原価情報を含めた管理会計情報の取引先との共有が「どのような状況で実施されるのか?」という従来の問いに代えて、「とのような取引相手であれば実施できるのか?」という問いを新たに設定し、この問いを実証的に解明することを計画している。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、取引相手の選択がオープンブック会計の実施に与える影響を経験的に検討することを通じて、国内外の管理会計研究の進展と企業実務の理解に貢献することを目的としている。この目的を達成するために、本研究の2年目にあたる令和5年度では、①文献調査の範囲を拡大するとともに、②本研究課題の中間の成果報告を実施した。 まず、①については、管理会計領域を中心とする昨年度の調査に加えて、隣接領域にあたるマーケティング、経営戦略、生産管理などの先行研究を対象として、包括的な調査を実施した。具体的には、組織間でのコントロールと信頼が成果に与える影響に関する研究(Poppo et al. 2016; Wang et al. 2020; Servajean-Hilst et al. 2021; Lou et al. 2022)、および、組織間でのコントロールと信頼との関連性に関する研究(Lumineau 2017; Shen et al. 2020; Susarla et al. 2020)などである。 次に、②については、組織間における管理システムの国内外での研究動向を整理し、これに関連する報告を実施し論文を公表した。加えて、わが国の製造企業を対象として、固定的な取引関係が管理会計情報に与える影響を明らかにした。とくに、後者については、資産特殊性が高く固定的な取引関係が非財務情報(品質・配送情報)の共有に与える影響、固定的な取引関係が財務情報(原価情報)の共有に与える影響、非財務情報(品質・配送情報)の共有が財務情報(原価情報)の共有に与える影響を、それぞれ経験的に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、取引相手の選択とオープンブック会計の実施との関連性を実証的に解明することを計画している。そのため、本研究の2年目にあたる令和5年度では、中間成果として、関連する研究報告などを精力的に実施してきた。具体的には、まず、オープンブック会計を含めた組織間の管理システムについて、欧米の新たな研究動向を整理するとともに、こうした研究動向のわが国での援用可能性について報告した(日本管理会計学会、2023年度第2回リサーチ・セミナー)。また、この報告に関連する論文を国内雑誌で発表した(『現代社会と会計』18号に所収)。さらに、管理会計情報(非財務情報の代表例である品質・配送情報と、財務情報の代表例である原価情報)に対して、固定的な取引関係が与える影響にかかわる報告を実施した(日本会計研究学会、第82回全国大会)。とくに、この報告は、資産特殊性が高く固定的な取引関係が品質・配送情報の共有に与える影響だけでなく、固定的な取引関係が原価情報の共有に与える影響や、品質・配送情報の共有が原価情報の共有に与える影響を含めたものであり、本研究課題の重要な成果の一つであると考えられる。 これに加えて、令和5年度では、わが国の製造企業(機械、電気機器、輸送用機器、精密機器)を対象に質問票調査を先行して実施した。この調査を通じて得られたデータは、次年度以降の研究活動に大きく貢献すると考えられる。 以上から、2年目の研究活動は、おおむね計画通りに進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の2年目にあたる令和5年度では、包括的な文献調査を実施し、管理会計の隣接領域であるマーケティング、経営戦略、生産管理などの研究動向について把握することができた。また、本研究の中間成果として、学会報告(日本管理会計学会、日本会計研究学会)を実施し、関連する論文を公表することができた。さらに、わが国の製造企業(機械、電気機器、輸送用機器、精密機器)を対象とした質問票調査を実施することができた。 以上の進捗状況をふまえて、次年度にあたる令和6年度においては、次の三つの方策で研究を進めていくことを計画している。 第一は、データの整理・分析の実施である。令和5年度では、わが国の製造企業(機械、電気機器、輸送用機器、精密機器)を対象とした質問票調査を先行して実施した。そこで、次年度では、収集した質問票データを用いて、企業が採用する管理システムに関わる現状分析を進める予定である。第二は、企業インタビュー調査の実施である。令和5年度では、質問票調査とともに企業インタビューの交渉にも着手してきた。そこで、次年度では、特定企業にアクセスし、取引企業の選択や取引企業との管理会計情報の共有の実態について把握することを計画している。最後は、海外の研究者との議論を通じた研究活動全体の質の向上である。これについては、欧米の研究機関を実際に訪問し、関連する議論を実施し、本研究の円滑な実施に反映させることを計画している。
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