研究課題/領域番号 |
22K01789
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
篠藤 涼子 麗澤大学, 経済学部, 准教授 (70635903)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 日英の比較 / 日本女子の会計役割 / 簿記・会計 / 日英比較 / ジェンダー / 教育 / 学際 |
研究開始時の研究の概要 |
家計管理を女子の役割とする社会認識は、英翻訳教科書を通じて日本に輸入され、良妻賢母を志向する女子教育政策によって確立した。英国、また、日本において、家計と企業活動に対する会計の浸透は教育を受容した女子の社会階層に応じて展開されたが、日本と英国間には、社会階層別の会計教育内容に著しい非対称性が認められた。本研究は、明治期の公教育が、女子を家計財産の責任者として位置付け、家計管理に強く動機づける一方、企業管理に関する社会的ロールモデルの提供を怠った結果、そこで成立した役割規範が現代日本のジェンダーギャップに影響を与えている可能性について、一次資料を基に実証研究する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、明治初期の日本において、女子の家計管理について文部省による翻訳教科書を通じて、英国女子の会計役割とその目的に強い影響を受けた事実に着目している。明治期、良妻賢母教育との関わりから日本女子に付与された会計役割について検討すると、英国女子の浪費抑制目的に倹約を謳った翻訳書における女子の会計役割は、知識による家計責任者として将来リスクに備えた倹約や貯蓄ができる良妻を志向する教育政策に合致した結果、日本では家計管理者としての責任を家計全般の会計管理者としての女子に帰結させて受容したことを明らかにした。 研究初年度は、官公立の高等女子会計教育内容に加えて、国家的方針の枠にこだわらず、官公立の女子高等教育機関外で展開された簿記教育内容について検討をしている。 検討の結果、先ず、官公立の女子高等教育機関とそれ以外の学校における、会計内容について学校史、当該学校で使用された女子が記録対象とする帳簿組織や勘定科目と設例から整理識別したこのように、日本女子への会計の教育は、教育機関に応じて異なっていたことが明らかとなった。 次に、日本女子の家計活動を対象とした会計教育のみならず、企業活動を対象とした会計教育も、英国女子の会計役割の影響を強く受けていたことが明らかとなった。これらについて、国際学会で研究成果を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会や研究会でのコメントを受けて、今年度の発表内容を細分化することに当初の研究計画を変更した。このため、論文執筆に向けては、準備量が増加した。現在、再計画に基づいて、研究を継続しており、概ね順調で進行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、明治時代に東京で初めて政府から独立した私立の女子商業学校が設立された背景とその目的に着目する。 このため、官公立の女子高等教育機関とそれ以外の学校における、会計内容について学校史、当該学校で使用された女子が記録対象とする帳簿組織や勘定科目と設例から整理識別を継続する。これにより、政府が指示した教育と、民間の女性市民が実際に会計分野にアクセスするために必要だと考えていたことを並置し、自発的に取得を目指す日本の女性のために開発された簿記教育の内容を知ることができると同時に、商業目的の女性のための会計知識の導入が、一般会計職のジェンダー化の進展にどのように影響したかを検討する。 加えて、段階的な研究成果を、学会や雑誌に投稿することで、社会に発信する計画である。
|