研究課題/領域番号 |
22K01793
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
李 燕 拓殖大学, 商学部, 准教授 (40612875)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | サステイナビリティ経営 / マネジメント・コントロール / 制度理論 / サステナビリティ経営 / マネジメント・コントロール・システム / サスティナビリティ / 定性的研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、サステイナビリティの取組みを従業員の業務に統合するプロセスにおけるMCSの役割について明らかにするために、イネーブリング・コントロールのフレームワークを用いて、複数の企業組織に対する事例分析を行い、その経験的研究の蓄積からイネーブリング・コントロールの理論的発展のための知見を明らかにする。そのために、サスティナビリティの取り組みを行っている4つの異なる企業組織を対象に、インタビュー調査、参与観察、アクションリサーチを実施し、個別事例分析、事例間の比較分析を行う。最後に、経験的研究を包括し、理論的発展のための知見を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、サステナビリティ活動を行っている複数の企業組織に対する事例研究に基づいて、サステナビリティ経営に対するマネジメント・コントロールの役割を明らかにすることを目的とする。本研究の2023年度の研究実績は以下のようになる。 まず2021年12月まで研究調査を実施してきた企業の事例(事例A)について、学術論文としてまとめ、学術誌『メルコ管理会計研究』に掲載した。本研究では持続可能性経営において社会的評価を得ている会社(事例A)に対する事例研究を通じて、現代組織に求められる持続可能性経営のためのマネジメント・コントロールの役割を明らかにすることを目的とする。本研究からは、同社の持続可能性経営における人事によるコントロールとコミュニケーション・ツールが、外部環境と企業組織の相互作用を通じた持続可能性の事業活動への統合、および持続可能性活動に従事する従業員の活動を組織的な営みに展開するプロセスの中で、相互補完的に役割を果たしていることが明らかになった。本研究からの発見は、持続可能性経営のためのマネジメント・コントロールに関する学術的な研究と実務の両方において貢献できるものと考えられる。事例Aについては、その他1本の学術論文を投稿中である 次に、2020年9月から着手している、中小企業におけるサステナビリティ経営を支援するための会計専門家組織とのアクションリサーチ(事例B)、および2021年から着手しているソーシャルビジネスを展開している企業(事例C)について、2023年度は、引き続き実務家とのミーティングやインタビューなどを通じたデータ収集を行いながら、その一部については研究成果として取りまとめ、現在2本の学術論文を投稿中である。最後に、SDGs経営を取り入れた中小企業(事例D)については、2023年度において複数回にわたるインタビュー調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、サステナビリティ活動を行っている複数の企業組織に対する事例研究に基づいて、現代の企業組織に求められるサステナビリティ経営に対するマネジメント・コントロールの役割を明らかにすることを目的とする。 2023年度は、当初の予定していた複数の企業組織に対して、インタビュー調査、実務家とのアクションリサーチ、参与観察などを行うことで、豊富なデータを 入手することができた。 また、その成果について、査読学術誌である『メルコ管理会計』に学術論文を掲載したほか、現在3本の学術論文を査読付きの学術誌に投稿中である。また2023年6月にEuropean Network for Research in Organisational and Accounting Change (ENROAC) the 13th Conference,2024年3月に日本会計研究学会会計プログレスカンファレンスにおいて研究報告を行うことができた。 これらの研究成果は、本研究テーマである現代組織に求められるサステナビリティ経営について、管理会計やマネジメント・コントロール・システムがどのように設計され、運用されるかについて、多様なビジネスモデル、業種における複数の事例から知見を蓄積しようとするものである。これらの経験的研究を蓄積することにより、サステナビリティ経営におけるマネジメント・コントロールに対する包括的な理解を形成し、企業組織におけるサステナビリティ経営の実務と理論に貢献するができると考えられる。以上のような理由から、2023年度の研究は当初の予定通りに順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、国内外の学会において研究報告などを行い、そのフィードバックに基づいて、国内外の学術誌へ学術論文を投稿する予定である。具体的に、まず現在査読誌に投稿中の3本の学術論文の掲載に向けて、査読者の意見に基づく加筆修正などを実施していきたい。また2023年6月にEuropean Network for Research in Organisational and Accounting Change (ENROAC) the 13th Conferenceで研究報告を行った原稿(事例C)を加筆修正し、2024年5月開催される第46回ヨーロッパ会計研究学会(ルーマニア、ブカレスト)で報告を行い、そのフィードバックに基づいて英文の学術論文としての投稿することを目指す。 また引き続きインタビュー調査、実務家とのアクションリサーチ、参与観察を通じたデータ収集を行う。データ収集については、複数の企業組織に対する研究着手時期が異なるために、それぞれの進捗状況と査読者からのコメントへの対応などの必要性に合わせて、継続的に、追加的に行いたい。 最後にサステナビリティに対する研究は、学際的なアプローチが求められている領域でもあり、管理会計、マネジメント・コントロール、経営学、組織理論や社会学等、関連分野の文献研究も継続的に行っていく予定である。
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