研究課題/領域番号 |
22K01794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
庵谷 治男 東洋大学, 経営学部, 准教授 (20548721)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 管理会計変化 / 管理会計ルーティン / 管理会計知識 / 知識移転 / 知識創造 / 吸収能力 / 普及能力 / 事例研究 / 動態的変化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、管理会計導入から一定期間経過後に管理会計ルーティンの動態的変化がどのように生じるのかについて組織内外の要因(ベスト・プラクティスの移転、吸収能力、推進者、外部イベント)を探索的に明らかにする。一定期間を置きながら企業への複数回の聞き取り調査を行い、一定期間経過後の管理会計ルーティンの変化を追跡する。知識移転、吸収能力、ルーティンといった概念を援用し、変化の動態性という視点から管理会計ルーティンの動態的変化を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では管理会計導入から一定期間経過後に管理会計ルーティンの動態的変化がどのように生じるのかについて解明することを目的としている。初年度の22年度は、大きく3つの研究実績がある。第一は、管理会計導入プロセスを当事者間の管理会計知識の共創プロセスと解釈する分析視角を査読付き学術誌に採択されたことである。管理会計導入プロセスの解明はこれまで管理会計変化研究として展開されてきた。しかし、管理会計導入時にフォーカスされており、導入後のプロセスについて包含した分析視角は十分に検討されてこなかった。それに対して、本研究では管理会計知識の複合性と社会性に着目し、当事者である送り手の普及能力および受け手の吸収能力が管理会計知識の共創に影響を与え、管理会計が導入組織の文脈に合わせて動態的に変化していく様子を解明することを試みている。第二は、ブリストル大学(英国)における管理会計ワークショップにて研究報告を行ったことである。同報告では行為者の知識能力に着目し、管理会計導入における影響を検討した。管理会計変化研究が盛んな英国での発表により、海外の研究者より知識能力概念の再検討の必要性とそれに関する有益なコメントを得ることができ、今後の研究を改善することにつながった。第三は、リサーチ・サイトへの調査着手である。本研究では管理会計導入からある一定期間経過した組織が主な対象である。そこで、北陸地方にある企業A社に対してアクセスすることができた。同社はアメーバ経営の管理会計を25年以上前に導入し、現在まで運用している。その間にも仕組みを修正し続けているため、今後は同社におけるアメーバ経営の管理会計変化を調査・分析していくことが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の進捗状況はおおむね計画通りに推移している。査読付き学術誌には既に投稿済みであったため、本年度に論文掲載の採択を得ることができた。管理会計導入プロセスの分析視角を構築できたことで、今後の事例研究の分析をより円滑に進めていくことが可能となっている。また、当初予定していたブリストル大学(英国)におけるワークショップでの英語による研究発表も実施することができた。参加していた国内外の研究者から示唆に富んだコメントを多く得ることができたので、今後の研究の向上に大いに役立つと考えられる。リサーチ・サイトについてコロナ禍の影響が残るなかで、年度当初は調査依頼先を探すことに苦戦したが、年度内に見つけることができた。アメーバ経営を導入して25年以上が経過している企業であり、既にアメーバ経営の導入背景や当初の様子については聞くことができているため、今後は定期的に聞き取りを行うことで、本研究の目的に沿った経験的材料を得ることが可能な見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目となる2023年度は、リサーチ・サイトにおける管理会計の動態的変化を本格的に調査していくことになる。リサーチ・サイトには既に打診済みであるが、今後も社会情勢等を鑑みながら、リサーチ・サイトの協力を得ていく努力を継続する。また、アメーバ経営は全員参加経営を標榜していることから、聞き取り調査対象も組織階層を広げていく考えである。企業のトップ(代表取締役社長)および経営管理のリーダーからの聞き取りは既に着手済みであるため、今後はアメーバ・リーダーへの聞き取り調査にも取り組む予定である。本年度もブリストル大学(英国)でのワークショップ開催が予定されているため、事例調査の結果がある程度揃えば、その成果を報告し、さらにブラッシュアップを図っていきたい。ただし、調査のスケジュールと英語論文・報告の準備の兼ね合いを注視し、時間的な面を考慮したスケジュールとしていく。仮に海外での発表が難しい場合も、国内の学会や研究会において機会を見つけて積極的に報告を行い、査読付き学術誌に成果を投稿していく考えである。
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