研究課題/領域番号 |
22K01800
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
田代 樹彦 名城大学, 経営学部, 教授 (90268061)
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研究分担者 |
田澤 宗裕 名城大学, 経営学部, 教授 (80411487)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 四半期決算 / 業績予想 / 修正情報 / 持続性 / 四半期開示 / アナリスト予想 |
研究開始時の研究の概要 |
諸外国では任意開示である経営者の業績予想情報の開示が、日本では実質的に強制されており、かつ、一定の基準に達した場合は業績予想情報を修正することが求められている。そこで、本研究は、「四半期財務報告制度の下で、経営者による業績予想開示の修正行動がどのように促され、市場はどのように反応するのか」という点を解明するものである。 この点を解明することにより、「四半期財務報告制度の下で業績予想の開示が求められている日本特有の適時開示システムが有用である」ことを明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度にパイロットテストにとどまった、日本の経営者の業績予想開示システムに関し、業績予想の修正の情報内容について、その持続性という観点からの検証を継続して行った。 証券取引所のルールによる「決算短信」によって四半期ごとに開示される業績予想値については一定の様式が慣行として採用されており、売上高の他に、営業利益、経常利益、当期純利益という段階利益ごとに予想値が開示されている。そして、これらの予想値に一定以上の変動が見込まれる場合には、修正情報を適時に開示することとなっている。 この予想情報について、2022年度は修正内容に持続性の異なる情報が含まれる可能性があることを考慮した検証に取り組んだが、2023年度はそうした持続性の差異に関する理論的な側面についても考察を深めた。とくに、四半期決算短信において定時開示される予想情報と、臨時開示として期中に公表される修正情報では、定時か臨時かという性質の違いから持続性が異なることが予想されるが、そうした差異に関する理論的な裏付けについて吟味しているところである。 加えて、2023年度はコーポレート・ガバナンスと予想情報の開示に関する分析にも着手した。本研究では、四半期決算短信における予想情報の開示機会が迅速な修正情報の開示を促すのではないかという仮説の証明を最終的な目的としているが、取締役会構成に関しガバナンスの弱い企業では、そのような情報開示が妨げられる(バッド・ニュースに当たる下方修正開示の遅延化が図られる)のではないかという点について検証を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度に遅れた進捗度を2023年度に取り戻すことができなかったため。 その具体的理由は以下の2点である。 まず、2022年度に引き続き研究代表者は学部長、研究分担者が学科長と、大学の管理運営業務において責任を負う立場に就いていており、学部のカリキュラム改正を行うこととなったため、研究に対するエフォートが低下した。 また、本研究の前提である四半期決算については、岸田政権によって廃止する方針が示された。もし、完全に廃止されると本研究の意義が薄れるため、その経緯を見守る必要があった。この方針が示されてから正式決定されるまで2年ほど要しており、最終的には2023年11月に成立した「金融商品取引法等の一部を改正する法律」によって、金融商品取引法上は、2024年4月1日以降に開始する会計期間から四半期報告書の作成が行われなくなった。しかし、四半期決算は、証券取引所のルールである決算短信で継続される方針が示されたことから、再度研究を進めたが、遅れを取り戻すには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、四半期決算の見直しは行われたものの、本研究の検証対象である業績予想の四半期開示は継続されることが確定したため、本格的な検証を再開しており、研究期間の最終年度である2024年度中に研究成果を論文としてとりまとめ、学術誌に投稿する予定である。
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