研究課題/領域番号 |
22K01801
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
近藤 隆史 京都産業大学, 経営学部, 教授 (60336146)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 管理会計 / マネジメント・コントロール / 業績評価 / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
マネジメント・コントロール・システムとしての管理会計システムの設計や役割,効果については,理論的に明らかになっていることと,実務で観察されることとのギャップが少なからず存在する。そうした理論と実証とのギャップの原因を明確にし,そのギャップを埋めることを試みるため,本研究は,経験的な調査での限界を克服すべく,シミュレーションからの知見も援用しながら,理論的仮説を導出し,検証することで,PMSなどのマネジメント・コントロール・システムに関する学術的な知見のアップデートを試みようとするものである。
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研究実績の概要 |
研究の実績については,第一に,業績評価システムに関するシミュレーションモデリングによる考察が行えた。具体的には,プリンシパルが提示した報酬システムのもとでのエージェントとのコミュニケーション問題を取り上げ,シミュレーション技法が適用できるようモデル化し解析を行った。これについては,「管理会計におけるシミュレーション研究の可能性と課題(『會計』204(2),2023)」においてまとめられている。結果としては,分析的モデルで仮定されるエージェントの合理性の要件を緩和しても,分析的モデルからの予測される結果が再現され,モデル自体の頑健性が示された。その一方で,エージェントの成果に対するフィードバックの頻度が,真実報告と高努力を引き出す上で重要な変数となることも明らかにされた。特に,近年多くの企業で見られる高頻度のフィードバックの有効性は,それが利用される業績指標がインフォーマティブ(informative)であることを要件とすることが明らかにされた。第二に,マネジメント・コントロール全体の根幹をなす理念システムに関する実証的な研究への応用が行えた。理念システムについて,LOC(Simons 1995)のパフォーマンスに及ぼす影響力の大きさをシミュレーションにより検証した代表者の成果(近藤・西居,2020)の成果の一部に基づいている。これについては「経営理念と戦略的行動の整合性(『会計学研究年報』43,2023)」にてまとめられている。ここでは,理念システムの定量化と,さらに,各社の戦略的行動との整合性について探索的に分析が行われている。こうした点は,コントロールシステム同士の関係性だけでなく,企業パフォーマンスとの関係にまでモデルを拡張する必要性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要にも示したとおり,研究論文を中心に業績が得られている点で,進展しているといえる。しかし,いくつかの点で,進展にやや遅れを認識している。まず,新型コロナウィルスなどの影響もあり,特に海外の学会への参加が行えていない点があげられる。また,文献レビューについて,管理会計研究におけるシミュレーション技法の有効性の検討のためにも,これまで行ってきているが,隣接領域(社会学や経済学など)も広範に渡るため,多方面での動向をキャッチアップするのにやや時間を費やしている。さらに,分析的モデルや実証研究からのシミュレーション・モデルの開発を勧めている一方で,得られた結果の外部データを用いた検証の機会を具体的に選定できていない点もあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,文献レビューを行い,マネジメント・コントロール(業績評価)に関するシミュレーション・モデルの開発,さらに,経験的データによる検証を行っていくことを方策として検討している。まず,文献レビューについては,管理会計研究におけるシミュレーションの有効性を明確にするためにも必要でこれまでにも行ってきているが,できるだけ広く隣接領域(社会学や経済学など)を含め検討できるようにしたい。また,分析的研究・実証研究に関する先行研究から,シミュレーション技法がフィットする課題が見いだせるように進めていく。第二に,実際に,シミュレーション・モデルの実行とその結果の検証・解釈を通じて,理論的・実践的な含意を見いだせるようにする。第三に,成果などは,論文としてだけでなく,できるかぎり関連する学会や研究会の場で発信していけるようにする。
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