研究課題/領域番号 |
22K01832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
茅野 恒秀 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (70583540)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 六ヶ所村 / むつ小川原開発 / 放射性廃棄物 / エネルギー政策 / 地域開発史 / 核燃料サイクル施設 / 地域資源 |
研究開始時の研究の概要 |
エネルギー政策の焦点となる核燃料サイクル施設が立地する青森県六ヶ所村では、原子力固有のリスクと巨大な経済効果という強度の両価性を有する施設の是非とともに、当地の地域資源を積極的に価値づける内発的・自立的な地域づくりの芽生えをどのように育てていくかが近年、問われている。本研究では、1972年以来続く社会科学的関心に基づく現地調査の蓄積を活用して、世代を超えて地域社会に影響を及ぼしている国策(戦後開拓、巨大地域開発、放射性廃棄物)の歴史的経過を適切にアーカイブし、住民と共に活用する道筋を拓く。あわせて村の過去と現在を改めて問い直し、複雑な現実に即した未来像を考察するための社会調査を展開する。
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研究実績の概要 |
エネルギー政策の焦点となる核燃料サイクル施設が立地する青森県六ヶ所村を研究対象の中心に据え、国内外のエネルギー政策とエネルギー転換の推移を詳細に把握しつつ、立地地域の過去と現在を改めて問い直し、複雑な現実に即した未来像を考察することはいかにして可能なのかという問いを立て、現代日本で最も錯綜した経路をたどってきた地域である六ヶ所村の今後の地域運営に関する現実的な指針を社会学的に明らかにすることを目的とする本研究の初年度となる2022年度は、以下の3つの取り組みを進展させた。 第1に、六ヶ所村民の生活経験と国策への応答の経過に向きあい、今後の地域づくりについて指針を得るための知識基盤となる資料アーカイブの構築と公表に向けて、既収集資料群の精査を進めるとともに、現地調査を実施し新たに資料を収集した。2022年6月に実施した現地調査では、村に残る林業遺産の探索に取り組む六ヶ所村立郷土館による、森林鉄道の遺構見学ツアーの試みを参与観察することができ、さらに村内の戦後開拓に関する企画展示から多くの情報を収集・確認することができた。 第2に、本研究の出発点を定位する成果として、六ヶ所村の地域開発史をまとめた論文を執筆し、2023年6月に刊行するための準備を整えることができた。(「「原子力半島」はいかにして形成されたか:下北半島・六ヶ所村の地域開発史と現在」茅野恒秀・青木聡子編(近刊)『シリーズ 環境社会学講座 2 地域社会はエネルギーとどう向き合ってきたのか』(新泉社)。 第3に、エネルギー政策や土地政策における環境社会学的見地からの論考の発信、ならびに事典項目執筆、学会発表や市民向け講演などのアウトリーチを8件実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響が2022年度を通して存在したため、現地調査の頻度および高齢者や医療従事者のインフォーマントへの調査を控えざるをえない状況があったが、他方で本研究の出発点を低位する論文の執筆をまとめることができた。よって、進捗順の入れ替えはあれど、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の設定のとおり、以下の4つの取り組みを複層的に進める。第1に六ヶ所村民の生活経験と国策への応答の経過に誰もが向きあい、今後の地域づくりについて指針を得るための知識基盤となる資料アーカイブの構築。第2にむつ小川原開発と核燃料サイクル施設問題という射程を超えた、戦後開拓と農林漁業に着目した資料の収集・分析と当事者への聞きとり調査。第3に、2003年に実施した住民意識調査の「20年後の再検証」と位置づける調査。第4に、資料アーカイブを基盤とした現地における社会組織や住民との共同的実践の展開。2023年度は資料アーカイブの構築の道筋を明確につけつつ、調査に重点を置く重要なタイミングとなるため、研究補助員等の適切な活用を行い、ボリュームの大きな作業を円滑に遂行することとする。
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