研究課題/領域番号 |
22K01839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 学校法人文京学院 文京学院大学 |
研究代表者 |
小林 宏美 学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 教授 (30614490)
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研究分担者 |
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (80363795)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 外国につながる高校生 / 社会関係資本 / エンパワーメント / ロールモデル / 奪文化化 |
研究開始時の研究の概要 |
外国につながる子どもの増加に伴い、言語文化背景が多様な子どもの日本語能力、学校への不適応、学力、アイデンティティ、進路などの課題が指摘されてきた。「奪文化化」のプロセスに置かれやすい教育的マイノリティにとって、これらの問題は「負の連鎖」となりうる。他方、困難を乗り越え日本社会で進学や就職を果たす者もいる。本研究では、外国につながる高校生の①家族②学校③地域社会(エスニック・コミュニティやNPO等)における社会関係資本が、教育的マイノリティの適応過程や教育達成、卒業後の社会生活に有益に作用しうるのか、高校生のエンパワーメントにつながる教育実践も実施しながら、実証的にこの問いを検証していく。
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研究実績の概要 |
外国につながる子どもの増加に伴い、言語文化背景が多様な子どもの日本語能力、学校への不適応、学力、アイデンティティ、進路などの課題が指摘されてきた。「奪文化化」のプロセスに置かれやすい教育的マイノリティにとって、これらの問題は「負の連鎖」となりうる。他方、困難を乗り越え日本社会で進学や就職を果たす者もいる。本研究では、外国につながる高校生の①家族②学校③地域社会(エスニック・コミュニティやNPO等)における社会関係資本が、教育的マイノリティの適応過程や教育達成、卒業後の社会生活に有益に作用しうるのか、高校生のエンパワーメントにつながる教育実践も実施しながら、実証的にこの問いを検証する。 本年度は、1)外国人生徒の社会関係資本についての聞き取り調査を実施した。同胞の大学生等に通訳を依頼し、聞き取りには可能な限り生徒の母語を用いた。来日経緯や家庭環境、高校入学経緯、日本語力、母語力、友人や教師との関係、将来展望等を指標化し、社会関係資本の効果の予備的分析を行った。2)外国につながりのある卒業生の進路について、卒業生から聞き取りを実施した。次年度は、社会関係資本の有無や形態、それへのアクセスが現在の仕事や社会生活にどのように影響したのかを調査分析する。3)高校教員へ聞き取り調査を行った。今年度は進路指導における課題を中心に調査を行った。 今年度の調査からは、一般の教員と外国につながりのある生徒に密接に関わる日本語教員との連携や、外国につながりのある生徒に対する進路指導の時期などについて課題のあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で、聞き取り調査の実施に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査結果について、文献検索の結果と照らし合わせながら分析を行うとともに、聞き取り調査を継続する。さらに、以下の実地調査を行って研究を推進する。 1)外国人生徒の社会関係資本についての聞き取り調査を実施する。2)高校における授業や委員会活動の参与観察:通常の授業や委員会活動(多文化交流委員会)の参与観察を行い、日本人生徒から受ける影響を検証する。同時に、学校の多様性を高める存在でもある外国につながる生徒と日本人生徒との学び合い(peer leaning)の意義も明らかする。3)高校教員や日本語指導員への聞き取り調査を行い、日本語指導や進路指導における課題について把握する。4)エンパワーメントにつながる教育プログラムおよび評価の研究:調査対象高校のキャリア教育科目で、同じ境遇の「先輩」の体験談を聞く会を実施し、終了後に「振り返りシート」を用いた生徒の自己評価や相互評価を実施する。受講生徒による記述は、テキストマイニングソフトを用い、進路に対する不安や授業を通した修得能力についての認識の変化を解析する。学習評価は外国人保護者にも伝え、子どものキャリア形成についての理解につなげる。5)研究の総括および社会への発信:本研究の成果を国内外の学会や学術誌等で報告および論文として発表するほか、書籍としても出版し成果を広く社会に還元する。さらに、調査対象高校の教員研修会で報告を行うとともに、本研究プロジェクトのホームページを作成し、他校においても応用可能なプログラムとして周知を図る。
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