研究課題/領域番号 |
22K01847
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
土屋 敦 関西大学, 社会学部, 教授 (80507822)
|
研究分担者 |
高橋 靖幸 新潟県立大学, 人間生活学部, 准教授 (30713797)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 社会的養護 / 愛着障害 / 歴史社会学 / 子ども研究 / 史料分析 / 施設養護 / 子ども / 代替養育 / 児童福祉 / 子ども社会学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、Andre Turmel(2008)に端を発する「子どもの発達」概念の歴史社会学の視座から、戦後日本社会の子どもの施設養育の変遷史の中で「愛着障害」をめぐる議論の盛衰がいかなる形でなされたのか。またそうした「愛着障害」概念の盛衰は、日本における子どもの施設養育の在り方をいかなる形で作り変えていったのかを問う。この「愛着障害」概念は「子どもの発達」をめぐる普遍的・脱歴史的概念ではなく、政治的かつ歴史的に構築された概念である。本研究ではこの「愛着障害」概念の政治性および歴史的構築性を、特に1970年代以降現在に至る時期の子どもの施設養護史研究の観点から明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、戦後日本の社会的養護の場における「愛着障害」をめぐる言説研究のうち、1970~90年代の①専門誌、および②施設資料それぞれに関する論文作成を行うとともに、2000年代から現在までの③専門誌の収集・分析、および④施設資料の収集・分析に着手し、①から④の作業をおおよそ予定通り行うことが出来た。 ①の一部は高橋靖幸『児童虐待の歴史社会学』(勁草書房、2024年2月)にまとめることが出来た。同作業では、戦前・戦後における児童虐待概念がいかに活用され議論がなされてきたのか、に関して、特に社会構築主義の文脈に照らしながら分析するとともに、戦前期から戦後にかけての児童虐待問題の変遷を歴史社会学の視座から緻密に描き出す作業を行った。 また②に関しても、土屋敦・野々村淑子編『医学が子どもを見出すとき』(勁草書房、2023年6月)、および土屋敦・藤間公太編『社会的養護の社会学』(青弓社、2023年9月)にまとめることが出来た。前者の研究では、特に1990年代以降「児童虐待問題」が形成されていく中での乳児院における「愛着障害」をめぐる議論の変遷を分析した論考であり、同時期に同主題が興隆するとともに、乳児院のあり方自体が作り替えられていった軌跡を詳細に跡付けた。後者の研究では、特に1960年代から2000年代までの里親言説と「愛着障害」言説の興隆に関して、その歴史的変遷を跡付けた。 また③および④に関しては、2023年度後半から着手しており、現在までにおおよその資料群の全体像や論点が析出できている段階にある。特に2000年代以降の児童虐待言説や施設養護、里親委託に関する議論の資料収集がかなりの程度進んできており、『児童養護』その他の社会的養護の専門誌や、施設保管資料の閲覧・収集において大きな研究進捗が見られた点は2023年度の作業の大きな特徴である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね順調に実施できている、特に2023年度前半では研究成果の論文化に集中的に取り組むとともに、後半では膨大な資料収集が出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、前年度の2000年代~現在における「愛着障害」概念形成をめぐる①専門誌分析、および②施設資料分析の論文化を進めるとともに、乳児院および児童養護施設における③勤続30年以上のベテラン施設職員へのインタビュー作業(15人ほどを予定)を行う。
|