研究課題/領域番号 |
22K01848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30314347)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アクションリサーチ / ボランティア / 社会的紐帯 / 災害復興 / まちづくり |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、研究者やボランティアや学生などの外部者が当事者とともに社会的紐帯の希薄化という社会課題の改善・解決を目指す中で、課題解決力を持った社会学的な知見を、アクションリサーチという方法論を用いて生み出すことを目的としている。具体的には、地震により突然社会的紐帯の弱体化にさらされその再生に取り組む被災地での復興まちづくり活動と、都市的生活の進展により社会的紐帯が徐々に弱体化したため、その再生に取り組む地域での居場所づくり活動を通じて目標を達成する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、新潟中越地震および東日本大震災の被災地である小千谷市(新潟県)と野田村(岩手県)でアクションリサーチをおこなった。小千谷市塩谷では、2004年の発災以来、住民による復興組織であった塩谷分校が、新型コロナウィルスや高齢化のため、閉校することとなった。その閉校式の準備、実施に住民とともに活動し、集落にとってあるべき復興の関わりを検討した。これらの研究活動は、24年度に、共同執筆の形で出版される予定である。また、野田村では、コロナ禍で中断していた学生ボランティアの住民との関わりが復興まちづくりに果たす役割についての研究を進めた。具体的には、地域のまつりでの地域住民の出店を手伝いながら、住民にとっての災害や復興について話を聞くとともに、外部から関心を持続していることを伝えることで、住民がおこなっている活動を改めて評価するきっかけを作った。日々の中では自らの活動の参照点が見失われがちな中で、このようなボランティア活動が活動を振り返る参照となるという役割があきらかになった。 これらのアクションリサーチの現在までの成果を、まとめ評価してもらうために、フランス社会科学高等研究院(EHESS)のセミナーで発表(英語)した。日本社会の特殊性とアクションリサーチという研究枠組みの一般性を確認することができた。具体的には、災害による社会的紐帯の危機に際し、外部者であるボランティアにも関わってもらうことで、復興させようとすることが日本社会の特徴であることが分かった。そのような特殊性がありながら、どのようなまちにしたいのか、という目標を決め、それに対して、現状の評価、課題の選定、課題解決へのステップ、そして評価という手順は、一般化できるものであることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新潟県小千谷市塩谷集落での塩谷分校閉校は、アクションリサーチという点からいうと、今後の復興活動が進む方向性がいったん消滅したことを示す、という意味で、計画を立て直す必要が生じたことを意味している。しかし、一方で、計画を立て直すきっかけが生まれたことになり、また新たなアクションリサーチが展開できることを意味している、という意味で、さらに今後、研究を進めることで知見が蓄積されることが予想される。 岩手県野田村での学生ボランティアと住民との関わりは、コロナ禍で中断していたが、23年度に再開できたことは、大きな研究上の前進である。想定していなかったが、学生ボランティアが現地に行けない期間ができたことがかえって、学生ボランティアの関わりによる住民の変化をあきらかにしてくれたので、研究上の知見を深めることができた。 また、研究成果をまとめ、発信する予定(出版など)があるので、その発信のプロセスの中で、新たに知見が深められることが期待されるという意味で、おおむね順調に研究が進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新潟県小千谷市塩谷集落や岩手県野田村でのアクションリサーチを進めていく。それぞれ、転換的なフェーズを迎えたので、その変化を外部からの研究者やボランティアが、住民とどのような関わり方で引き起こしていけるのかを検討していこうと思う。そのために、継続的な関わりを持っていく。 また、それらをまとめ発信していく。具体的には、国内外での研究発表や出版である。 これらの研究を通じて、社会的紐帯にとってどのようなアクションリサーチが社会学という視点から可能なのかを探っていく予定である。
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