研究課題/領域番号 |
22K01851
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 国立社会保障・人口問題研究所 |
研究代表者 |
余田 翔平 国立社会保障・人口問題研究所, 人口動向研究部, 第3室長 (70749150)
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研究分担者 |
斉藤 知洋 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障基礎理論研究部, 研究員 (00826620)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 無配偶者 / 社会階層 / 世帯形成 / 家族生活 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで無配偶者は、貧困や孤立をはじめとする社会的リスクの高い脆弱な集団として一様に捉えられることが多かった。しかしながら、過去数十年間における未婚化・晩婚化・離婚リスクの増大という3つの人口学的変動によってもたらされた無配偶人口の増大を踏まえると、多くの社会的リスクを抱える者とそうでない者との分断が生じていても不思議ではない。本研究では、主に公的統計調査の個票データを利用することで、かつてはマイノリティであったがその規模を拡大してきた無配偶人口(未婚者・離死別者)の内部において、個人が保有する資源と家族生活に階層分化が生じているのかを解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度はまず、「21世紀出生児縦断調査」(厚生労働省・文部科学省)、「国民生活基礎調査」(厚生労働省)、「国勢調査」(総務省)などの調査票情報の二次利用申請手続きを進めた。 実証分析として取り組んだ研究は以下の通りである。 第1に、家計経済研究所と慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターが実施した「消費生活に関するパネル調査(JPSC)」を用いて、女性の離婚・再婚行動とそれらに伴う経済状況の経年的変化を検討した。その結果、離婚リスクと再婚機会の階層化、非正規雇用を中心とする女性の就労化は、近年ほど社会経済的に不利な離別女性の経済状況を悪化させるリスク要因として作用していることが示唆された。 第2に、中高年期(40-64歳)に未婚に留まる人々の社会経済的属性と生活リスク(相対的貧困・社会保険未加入・ソーシャルサポートなど)との関連について、「生活と支え合いに関する調査」(国立社会保障・人口問題研究所)を用いた分析を行った。社会経済的に脆弱な層において中高年未婚者の割合は高く、中高年未婚者の相対的貧困率や生活困難度は離別者と同程度か、それに次いで高いことなどが明らかになった。それゆえ、中高年未婚者の増加という人口学的変化は、雇用・家族の生活保障機能が脆弱な現役層の人口規模を拡大させ、将来の公的社会保障の持続性にも甚大な影響を与えることが推測される。 第3に、「出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)を用いて、若年未婚女性が抱くライフコースの選好の長期的趨勢を分析した。自身が理想とするライフコースと実際に歩むであろうと予期するライフコースとが一致する未婚女性の割合は過去30年間を通して35%前後でほぼ一定であり、依然として多くの未婚女性が自身が望むライフコースを実現できる見通しを持てていないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、公的統計の調査票情報の二次利用申請は円滑に手続きを取ることができた。実証分析についても初年度からすでにいくつかの下位プロジェクトについて成果として公表することができ、当初の計画におおむね沿って研究を遂行することができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、初年度に取り組んだ実証研究の中でまだ研究論文の形で取りまとめられていないものについて、査読付き学術誌論文としての公表を目指して準備をすすめていく。さらに、「国勢調査」や「出生動向基本調査」の調査票情報を用いて、個人の配偶関係および無配偶者の世帯形成について階層分化に着目した分析を進め、それらの結果をまずは学会報告の形で公表していく予定である。
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