研究課題/領域番号 |
22K01858
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 亀田医療大学 |
研究代表者 |
川上 裕子 亀田医療大学, 看護学部, 准教授 (20612196)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 消防団 / 農山漁村 / 地域福祉 / 共助 / 公助 / 歴史社会学 / 福祉 |
研究開始時の研究の概要 |
近代日本が全国網羅的に配置した消防団は、消火・防災活動に加えて、地域の実情に応じて住民に密着した活動を展開し、「公助」の形態をとりながら「共助」「互助」の機能も果たしてきた。消防団員自身も助け合いや地域貢献という意識を強く持って活動しているものの、これまで地域福祉のアクターとしては議論がなされてこなかった。そこで本研究では、近代以降、本格的に制度化された消防団活動の展開とその現状を、歴史社会学の手法と2県で実施するフィールドワークにより検証することを通して、消防団の有する役割や機能を地域福祉の側面から実態に即して明らかにしたいと考える。
|
研究実績の概要 |
研究初年度にあたる2022年度は、農山漁村における消防団の制度面の変遷を検証することを目的とし、文献検討と防災専門図書館をはじめ消防大学校図書館、国会図書館等での資料収集を中心に研究を遂行した。 まず、消防行政における消防団の位置づけと時期ごとの課題を押さえつつ、雑誌『日本消防』(創刊1948年)と『近代消防』(同1963年)を通読し大づかみに制度史を捉えた。今後の分析にあたっては、戦後の社会保障の転換点に即して、社会福祉の拡充期・見直し期・改革期・介護保険制度実施期という4期に区分した局面で特徴を示していくことになる。つぎに、消防団は市町村単位で設置されることから、調査候補地とその近隣の市町村の沿革史によって農山漁村における消防団の設立経緯の特徴を捉えた。また、消防団員に向けた定期刊行誌の記事や、東日本大震災以降刊行が増加した消防団員による手記やルポルタージュも精読し、福祉実践の手がかりになるような伝統的・先駆的な活動を抽出する作業を行った。これらより、地域ごとに歴史や産業構造、人口構成や家族形態などが異なり、福祉ニーズも多様であることから、消防団の在り様も多様に存在している可能性が示唆された。そして、消防団の福祉的機能を明らかにするために今後新たに踏まえるべき分析視点として、女性消防団制度の創設過程と活動実態が挙げられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
資料収集に関しては計画的に行うことができた。しかし、学内業務を優先せざるを得ない事情から、収集した資料の整理と分析が不十分に終わり、インタビュー調査にも着手できなかった。また、新型コロナウィルスの感染拡大で延期となっていた別の研究プロジェクトの海外調査が可能となったことで、11月にアメリカでの現地調査を実施したことも本研究の遅れにつながった。
|
今後の研究の推進方策 |
資料からの制度面の把握に加え、それらについての先行研究の収集、研究対象とする自治体の取り組み事例の収集、実証的に明らかにするためのインタビューなど現地調査が必要になる。研究初年度の遅れを最小限にする方策を検討していく必要があり、研究開始時にはインタビュー調査のフィールドとして史資料へのアクセス・調査対象者の選定可能性などから、関東と中国地方にある計3つの消防団を計画していたが、実現可能性も含め今後の計画の見直しを行う。文献や資料の分析を深めたうえで対象者の選定、実施へとつなげていく。この取り組みは初年度に実施した消防団の制度面の把握に対して、実践面の把握・検証となる。
|