研究課題/領域番号 |
22K01860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
渡邉 大輔 成蹊大学, 文学部, 教授 (20629761)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 高齢期 / 不安定性(プレカリティ) / 就業 / 貧困 / 混合研究法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、現代社会における高齢期の変容を、高齢期における就業と生活の不安定性 precarious aging という観点から描きなおすことにある。非正規化が進む高齢期の就業と、それに伴う社会関係や社会活動も脆弱化という高齢期の多元的な不安定性について分析する。 そこで、都市部の60~74歳を調査対象として、郵送質問紙調査とインタビュー調査を組み合わせる混合研究法によるアプローチによる調査を行い、高齢期における就業と生活の不安定性の実態と不安定におちいるメカニズムを解明する。元気で豊かな生活を送る高齢者でも福祉や介護制度の対象でもない、その狭間を生きる高齢者の多元的な不安定さを示す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、現代社会における高齢期の変容を、高齢期における就業と生活の不安定性 precarious aging という観点から描きなおすことにある。そこで、本研究では、既存調査の2次分析を行い調査票を開発するとともに、都市部の60~74歳を調査対象として、郵送質問紙調査とインタビュー調査を組み合わせる混合研究法によるアプローチによる調査を行うことを計画している。具体的には、既存調査の2次分析を行い調査票を開発するとともに、都市部の60~74歳を調査対象として、郵送質問紙調査とインタビュー調査を組み合わせる混合研究法によるアプローチによる調査を行う。量的、質的双方の知見を組み合わせることで、高齢期における就業と生活の不安定性の実態と不安定におちいるメカニズム、さらに当事者の現状への意味づけやその課題について解明する。 研究初年度に当たる2022年度は、主に文献調査と既存調査の2次分析のためのデータハンドリングに時間をあてた。文献調査についてはおおむね完了し、主に英語文献を中心に高齢期における不安定性 precarious aging についての文献を収集した。その中で本研究のコア概念となる高齢期の多次元的な不安定性について、概念的なまとめをおこなった。この成果は、2023年6月のアジア・オセアニア老年学会議にて報告する予定である。次に、既存調査の2次分析として2015年度に実施された社会階層と社会移動全国調査(SSM)2015の個票データが本年度後半に公表されたことから同データを入手し、その分析作業に着手している。 本年度は研究初年度に当たるため具体的な成果は出ていないが、本年度の研究成果をもとに前述のものを含め国際学会報告に2本応募し、いずれも採択されている。この報告は2023年6月に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度に当たる2022年度は、主に文献調査と既存調査の分析のためのデータハンドリングに時間をあてた。文献調査については、おおむね完了し、主に英語文献を中心に高齢期における不安定性 precarious aging についての文献を収集した。 しかし、2次分析の実施を年度冒頭より予定していたが、使用する予定であった社会階層と社会移動全国調査(SSM)2015の公開が当初は本研究の実施前に公開されているものと想定していたが実際には2022年後半に公開されたため、データの入手が2022年末となった。そのため、当初よりも2次分析を行ったうえでの調査票の作成に遅れが出ている。この点は2023年度前半にできるだけ研究時間をとることで挽回を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年度目にあたる2023年度は、実査を中心に行う。本研究は混合研究法によるアプローチをとり、①都市部60~79歳を対象とした郵送質問紙調査と、②同対象へのインタビュー調査による不安定経験の語りの分析をおこなう。なお、②のインタビュー調査については23年度は試行的に実施し、本格的には24年度におこなう。 まず、①の質問紙調査では、高齢期の不安定性を多元的に測定する調査票を開発する。次にその調査票をもちいて、高齢期における就業や生活の不安定さのメカニズムや帰結を分析するため、都市部(東京都の5つ市)において60~79歳の男女2,000人を対象とした郵送質問紙調査を実施し、そのデータをもとに統計分析を実施する。 具体的には2023年夏季にサンプリングを実施し、2023年11月頃に調査票を発送、回収することを目指す。この調査・分析によって、高齢期の就業と生活の不安定さの多元性とメカニズム、および、その帰結(資源の減少、健康・ウェルビーイングの悪化)を実証的に解明する。 また、①の調査対象のうちインタビュー調査への協力を受けたものに対して、インタビュー調査も試行的に実施する。このインタビュー調査は統計分析での仮説検証の結果の再検証と解釈のための知見の提供と、質問紙では把握できない経験の詳細の把握およびその語りの分析を目的とし、高齢期における就業や生活それぞれが安定的であるものと不安定であるものをマッピングして抽出した対象者に対して、就業や就業意欲、社会参加やその意欲・評価、地域における資源へのアクセスや認知について半構造化インタビューを行う。 以上の作業を進めつつ、国内外での学会発表において本研究のコア概念となる高齢期における不安定性についての概念について精緻化を試みる。
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