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マニラの再居住地における貧困化過程に関する基礎研究:所帯構成の変化の観点から

研究課題

研究課題/領域番号 22K01861
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08010:社会学関連
研究機関日本大学

研究代表者

石岡 丈昇  日本大学, 文理学部, 教授 (10515472)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード再居住地 / 貧困 / 通勤 / レジリエンス / 強制移住
研究開始時の研究の概要

本研究は、マニラ首都圏を事例に「特区開発を伴う都市再開発が、どのように都市貧困層の立ち退きとさらなる貧困化を引き起こしているのか」という問いを明らかにするものである。この研究課題を、リサール州ロドリゲスおよびブラカン州バラグタスの二つの事例地の実証調査から検討する。この二つは共に都心の特区開発の影響を受けて再居住地への移住を余儀なくされた貧困層が、多く住んでいる(とりわけマニラ首都圏サンロケからの立ち退き者が多い)。本研究は、都市再開発と再居住の関係を捉えるため、これらの事例地を選んだ。

研究実績の概要

本プロジェクトは、マニラの再居住地における貧困化過程を所帯構成の変化から読み解くというものであった。2023年度の調査を通じて、再居住地からマニラの職場までの通勤が、時間的にも金銭的にも、住人たちの経済・社会生活に大きな圧力となっている模様を把握することができた。
強制撤去によって再居住地に「送られた」人びとには、その後の対応において、大きくふたつの類型がある。これは現地の言葉では、再居住者(relocatee)と出戻り者(returnee)と言われる。再居住者とはその名の通り再居住地に居住する人のことで、出戻り者とは再居住地での生活を諦めてマニラに出戻った人である。両者は別の類型を成しているが、しかし、そこには共通する前提がある。現在の再居住者もまた、将来には出戻り者になりうるという潜在的可能性である。そして再居住者が、再居住地の生活をあきらめて出戻り者になる要因としてあるのが、通勤による疲弊であることがわかった。
再居住地の人びとは、マニラのどこで働くかによって移動の経路は変化するが、基本的には元の居住地を経由してそれぞれの職場まで通勤している。満員のジプニーで大渋滞の中を通勤するのは、身が擦り切れるような経験である。交通費や食費の増加は、皮肉にも、より多くの通勤を課すように機能する。こうした費用がたくさんかかるようになるからこそ、住人はこれまで以上に身を粉にして働いて、家計を維持する必要が出る。再居住地では主たる家計支持者が休日出勤をサンロケ在住時以上におこなうようになることがわかったが、そこには休日出勤をおこなわなければ、手元に生活費が残らないの現状を見てとることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍で現地調査が不可能であったこれまでと比べ、2023年度は現地調査ほかができたため。そして、その成果を迅速にまとめることができたため。論文や著書の執筆、講演などをおこなっており、成果の発信もできている。以上より、(2)概ね順調に進展している、という区分が妥当であると言える。
2024年度は、よりいっそうの研究の発展を進めていく。

今後の研究の推進方策

家計データの分析を進める中で、2023年度は通勤による交通費が家計を圧迫しているという新たな知見を得ることができた。この知見を踏まえて、家計や家族構成の動態の理解をより深めるために、現地調査に加えて、オンラインでのやり取りを実施していくことが調査対象者とも合意をすることができた。よって、今後の研究の推進策として、現地調査を中心に、そうではない期間においてもオンラインでの情報交換をおこなうことで、より精緻な本研究に関わるデータが取得可能になることが期待される。ここに今後の研究の推進方策がある。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 社会調査に「巻き込まれること」から見えてくる地平2024

    • 著者名/発表者名
      山田富秋・石岡丈昇
    • 雑誌名

      理論と動態

      巻: 16 ページ: 7-17

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] タイミングの社会学(第17回)根こぎ(1)強制撤去の日々2022

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 50(7) ページ: 229-237

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「作業」から考える質的社会調査2023

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 学会等名
      社会調査協会シンポジウム「質的研究の職人芸的手法とテキスト化の困難と可能性」聖心女子大学
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] コメント:新しい調査法と社会調査教育をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 学会等名
      第70回関東社会学会テーマ部会B「新しい調査法と社会調査教育」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] タイミングの社会学:ディテールを書くエスノグラフィー2023

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 総ページ数
      416
    • 出版者
      青土社
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] The Bottom Worker in East Asia: Composition and Transformation Under Neoliberal Globalization (Studies in Critical Social Sciences, 262)2023

    • 著者名/発表者名
      Hideo Aoki and Tomonori Ishioka (eds.)
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      Brill
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 岸政彦編『生活史論集』2022

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 総ページ数
      530
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 新原道信編『人間と社会のうごきをとらえるフィールドワーク入門』2022

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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