研究課題/領域番号 |
22K01877
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
前田 豊 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (50637303)
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研究分担者 |
金 太宇 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (10793945)
石田 淳 関西学院大学, 社会学部, 教授 (40411772)
福田 雄 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 講師 (50796307)
土屋 雄一郎 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70434909)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 災害廃棄物 / 仮置き場 / リスク / 合意形成 / 事前復興 |
研究開始時の研究の概要 |
災害大国である日本において,事前復興の必要性は繰り返し喚起されてきた.その事前復興の一つとして,災害発生時に生じる災害廃棄物を一時的に集積する仮置き場の設置は,生活復興の進捗を左右する取り組みとして理解できる.本研究は,仮置き場が自然災害に対する脆弱性を左右する制度的な資源の一つであるという理解のもと,設置に至るまでの重層的な合意形成プロセスを,量/質的調査データの解析,数理モデルによる一般化から理論/経験的に解き明かす.この試みから,災害における脆弱性とレジリエンスに関する社会学的研究の系譜に,具体的な事例と知見を付け加えるとともに,事前復興事業の円滑な実現に資する学術的成果の提示を行う.
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研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは,災害廃棄物の仮置き場設置に関わる重層的な合意形成プロセスを主題として,数理モデル・量的/質的アプローチの併用から理論・経験的に解明することを目的としている. プロジェクトの初年度にあたる今年度は,今後の研究推進に向けた基礎固めを企図として,先立って行っていた関連研究プロジェクトからの継続的な検討,および成果のとりまとめを行った.具体的には,自治体レベルでの仮置き場設置準備に関わる要因に焦点を当てた探索的な分析を行い,自治体の人的資源,およびデモ/ジオグラフィックな要因や産業構造を統制してもなお,過去の罹災経験が自治体単位での仮置き場設置準備を左右する要因であることを明らかにした.また,個人を対象とする調査データの分析から,自然災害へのリスク認知の高低が行為と必ずしも一致しない「リスク認知のパラドックス(risk perception paradox)」の存在を経験的に示し,個人の生来的属性や意識とも関連することを明らかとした.これらの知見は,将来の自然災害に備えた仮置き場設置に歴史的文脈という集合的特性が関わること,さらにはハザードに対する合意形成が必ずしも個人のリスク認知のみに帰着されない可能性を示すものであり,向後の調査・研究デザインに関わる示唆を提示している.なお,これらの成果は論文,および関連学会にて報告した. 加えて,研究会を2回実施し,各担当の進捗の確認,および予定しているweb調査の調査項目とデザイン構築に向けた検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では初年度にweb調査の実査を予定していたが,慎重な調査項目の選定,およびデザイン構築にむけて,まずは関連する研究プロジェクトの整理と先行研究の精査を行った.また,質的調査の実施も初年度に予定していたが,依然としてCOVID-19のリスクがぬぐい切れず,十分な調査協力が見込めないと判断し,同様に延長した.以上の点から「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
遅れていたweb調査の実査を8月をめどに行い,年度後半を分析に充てる予定である.また,質的調査については,調査対象地における状況を慎重に見極めつつ実施する予定である.
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