研究課題/領域番号 |
22K01878
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹内 里欧 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (40566395)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 都市新中間層 / 家庭 / 教育戦略 / 比較 / 佐々木邦 / 子ども / 児童文学 |
研究開始時の研究の概要 |
研究課題の中心的な問いは、大正・昭和初期の児童文学を中心的な資料とし、現代日本家庭の有する価値観や特徴の淵源ともいわれる大正・昭和初期都市新中間層家庭文化における人間形成と教育戦略について、比較(時間的・空間的)の視点も含みつつ明らかにするということである。本研究は、1.都市新中間層文化の社会的背景について、2.都市新中間層家庭における人間形成と教育戦略、3.比較(時間的・空間的)の視点からの都市新中間層文化の再検討という3つの分析を中心とする。
|
研究実績の概要 |
今年度の作業として以下を行った。資料収集にかんしては、日本近代文学館、沼津市明治資料館、吉備路文学館などにおもむき、資料(書簡、雑誌記事、画像データ等)を収集した。研究会・シンポジウム等での発表については、以下のとおりである。まず、国際シンポジウムにて、発表・司会を行った(「Historical Transformation of Middle Class Culture and Higher Education in Japan」(「Round-table discussion 3」)国際シンポジウム「Designing a Japanese university for the Globalizing Century」2023年8月23日、於国際日本文化研究センター、英語)。また、直接関係するテーマではないが、フィンランドの女性知識人について彼女の生育環境(教育意識の高い新中間層家庭)に注目し研究会で発表し比較の観点から示唆を得られた(「「参入」をめぐる戦略」「文と芸の社会学研究会」、2023年10月29日、於龍谷大学梅田キャンパス)。論文(書籍の一部)については、以下のとおりである。まず、戦前の都市新中間層文化にかんして、既に原稿を提出していたが、その後共著者と議論し比較の観点を加味した修正を行い完成稿として論文を提出した(「第8章 都市新中間層文化の生成と佐々木邦」 『日本型教育(仮)』京都大学学術出版会(初校校正済。2024年日本語英語にて出版予定)。また、育児や教育をめぐる規範の変容について分析し書籍の一部として出版した(「時間の再魔術化と呪術的なモノの蘇り」近森高明・右田裕規編『夜更かしの社会史』吉川弘文館、2024年)。また、国際シンポジウムの成果をもとに、英語での書籍の出版をすすめており、竹内は戦前の都市新中間層と高等教育の関係について執筆する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調にすすんでいる。今年度前半については病休のち休職しておりほとんど研究活動をすすめられなかったが復職してからは遅れを取り戻すべく尽力した。1年間をとおした結果としては順調にすすんでいるといえる。 本研究の目的は、大正・昭和初期都市新中間層家庭文化における人間形成と教育戦略について、比較(時間的・空間的)の視点も含みつつ明らかにするということである。先に述べたように、資料収集・分析(日本近代文学館、沼津市明治資料館など)、研究会・国際シンポジウムでの発表(「文と芸の社会学研究会」、国際日本文化研究センターシンポジウムなど)、論文(書籍の一部)の執筆(「都市新中間層文化の生成と佐々木邦」『日本型教育(仮)』京都大学学術出版会(2024年出版予定)、「時間の再魔術化と呪術的なモノの蘇り」近森高明・右田裕規編『夜更かしの社会史』吉川弘文館(2024年))などの作業を行った。また、国際シンポジウムの成果をふまえた書籍(英語)の出版計画(竹内は、新中間層と高等教育の関係についての分析を担当予定)なども計画されている。日本の教育について比較の観点から問い直す研究会(日文研共同研究会「日本型教育の文明史的位相」(瀧井代表))などへの参加、、リレー講演会(「Welcome to 社会学」(京都大学アジア親密圏/公共圏教育研究センター主催))の運営・司会なども行い、研究者のネットワーク形成も行った。 特に、今年度の後半は、コロナ禍、そして、私事ながら病休・休職などにより、これまで思うようにできなかった移動をともなう研究活動(遠方の施設における資料収集、研究会参加等)ができたこと、また、日本の教育文化の特徴や歴史的変容、可能性や問題について、比較(時間的、空間的)の視点から検討する機会(育児にかんする規範の変容についての論文執筆、国際シンポジウムでの発表など)をもてたことが有意義であった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年については、以下の作業をすすめていく。本研究は、1.都市新中間層文化の社会的背景について、2.都市新中間層家庭における人間形成と教育戦略、3.比較(時間的・空間的)の視点からの都市新中間層文化の再検討という3つの観点からの分析を試みる。 1について、本年度は、戦前の都市新中間層文化の社会的背景について、既に今まで集めた資料や分析をもとに、あらためて整理検討する。特に、高等教育の普及との関係について考察を深める。2については、既に行った分析((「都市新中間層文化の生成と佐々木邦」『日本型教育(仮)』京都大学学術出版会(2024年日本語英語にて出版予定)、国際シンポジウム「Designing a Japanese university for the Globalizing Century」(2023年8月23日、於国際日本文化研究センター)での発表・議論など)をもとにしつつ、あらためて整理検討し学会等で報告し論文としてまとめることを予定する。具体的には、日本教育社会学会、国際日本文化研究センター研究会などでの報告を経て論文としてまとめることを考えている。3については、あらためて国際的な研究会等で研究課題にかんする発表を行うことを考えている。具体的には、既に共著書や共同研究の経験のあるフィンランドの研究者(P.コルホネン氏、ユバスキュラ大学大学院生等)などから比較の観点からコメントをもらうことや、日本の教育文化にかんする書籍(英語。現在執筆中)の共著者から執筆作業を通じてコメントをもらうことを考えている。 以上の作業により、都市新中間層文化について、時間的比較(現代の教育文化への連続/断絶)と空間的比較(日本の教育文化の普遍性/特殊性)の視点をもちつつ検討をすすめていく。最終的に、研究成果報告書をまとめ、国内にとどまらずグローバルな文脈で発信・検討することを予定している。
|