研究課題/領域番号 |
22K01890
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
武田 尚子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30339527)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | ヨーク / 洪水常襲地域 / 浸水リスク / 再開発 / 観光・サービス業 / 名古屋市 / 土地区画整理事業 / 庄内川 / 微高地 / 低湿地 / 水害 / 利水 / 治水 / 洪水頻発地域 / 流域治水 |
研究開始時の研究の概要 |
近現代都市における洪水頻発地域を取り上げ、度重なる水害に対応し、当該地域ではどのように「利水・治水への対応」を再編成していったのか明らかにする。近代都市では工業用水として河川を利用することが増え、河川に関わる関係アクターが農業集落よりも多様化し複雑になっていた。水害が発生すると、治水対策が強化されるため、「利水・治水対応」の再編成が必要になった。近代都市における水害の分析を通して産業化を多面的に理解することが可能である。本研究は東京圏における3カ所を主要調査地域とし、歴史的史資料の活用、聞き取り調査、水害伝承碑調査などの質的調査を実施し、成果が歴史災害研究の資料蓄積に寄与することもめざす。
|
研究実績の概要 |
イギリス・ヨーク市を調査対象地とし、歴史的アーカイブを用いて、1960年代~2010年代の産業構造の変化と都市空間の再編成プロセスに着目し、環境要因という視角から水害対策と都市再開発について歴史社会学的研究を行った。 1960年代のヨークは製造業中心都市で、郊外の産業基盤を土台に大量生産が行われ、教育・学術・医療分野など新産業の基盤は郊外に形成された。他方、市中心部は老朽化区域となり、道路建設の開発圧力にさらされた。同時期、都市中心部衰退はイギリス全体に共通する問題で、危機感を抱いた住宅・地方自治省は歴史的資源に文化的・経済的価値があることを浸透させる政策を展開した。 ヨーク市当局は道路建設計画を推進し、中央政府の取り組みと対立した。1971年にヨーク人口の約1割が参加する歴史的環境保全運動が展開し、歴史的資源を活用した経済活動が市民の間で議論されるようになり観光振興を推進する潮流が生み出された。 中心部に蓄積された歴史的資源を活用する方向に市民の合意形成は進んだが、中心部にはスラムクリアランス後に再開発が停滞している大規模面積の市有地があった。市内を貫く小河川沿岸で、洪水常襲地域のヨークでは最も浸水リスクの高い場所である。歴史的資源を活かした産業開発を進める気運のなかで、浸水リスクと再開発をどのように調整し、歴史的環境を活かした観光・サービス業に連結可能か、再開発の方向をめぐり模索が続いた。地理的に条件不良である区域が再開発が進まないまま中心部に最後まで残り、新たな産業創出にどのように生かせるかが課題だったのである。 1990年代にロンドン再開発をモデルとしたオフィス業務空間中心の再開発が試みられたが、期待通りには進捗せず模索が続いた。結果的に高層化によって浸水リスクを回避し、住居空間を建設して、観光業・専門サービス職層への住宅供給という形態で再開発が進められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題に関するアーカイブの探索、資料収集を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
水害に関するアーカイブ資料を諸機関で探索したところ、各地域における歴史災害と被災者支援、救恤方法が、各地域の特色や歴史的に蓄積してきた資源と関連していることがわかったので、今後は歴史的災害と救恤のありかたについても資料収集に努める予定である。
|