研究課題/領域番号 |
22K01893
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
崔 銀姫 佛教大学, 社会学部, 教授 (30364277)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 戦争 / 記憶 / メディア / 世代理論 / インターセクショナリティ / 移民 / 朝鮮戦争 / マンハイム / 東アジア / 思想 / 日本 / 和解 / 世代 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、朝鮮半島における朝鮮戦争の「記憶」をめぐるメディア実践を研究対象としながら公共的空間のメディア実践の歴史的なダイナミズムを検討するとともに、「記憶」をめぐるずれと葛藤を世代間の時代的背景と特徴との関係性から明らかにしつつ、そういった「記憶」の差異から朝鮮半島における「和解」のためのロジックを考察する。さらに、朝鮮半島や日韓関係、ひいては東アジアにおける「和解」のためのプロセスへフィードバックできるヴィジョンを示す。
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研究実績の概要 |
2023年度は2022年度から2023年上半期までの調査と分析の結果を出版するための論文としてまとめました。その意義は以下のようにまとめられます。 第1に、朝鮮戦争に関わる「記憶」の差異を捉えた点が挙げられます。第2に、世代理論を再考し、独創的な研究方法であるインターセクショナリティを用いた点が挙げられます。第3に、朝鮮戦争以後の近年、韓国における「平和」という全体主義的形態の政治性の問題点を実証的に明らかにし、課題としての記憶と忘却といった現実的な問いにアプローチした点が挙げられます。なお、2023年度の研究成果(論文)は、これまでの申請者の朝鮮戦争関連研究(崔銀姫(2021,2022))の完結編にあたり、今後、日本の関連研究において一つの道標となると位置付けられます。さらに、2020年は朝鮮戦争勃発70年、また2022年は沖縄返還から50年、そして2023年は朝鮮戦争停戦協定70年にあたる年であったため、こうした記念すべき節目の年に取り組む意義は十分に満たされていると言えます。第4に、当該研究で取り上げて分析したメディア実践としての研究対象(在米コリアン作家の小説や日本と韓国のドキュメンタリー、ハリウッド俳優出演の映画)は、国境や国籍を跨ぐグローバルなコンテンツとして、日本をはじめ、韓国やアメリカ、ドイツなどの国内外でのその学術的価値は、グローバル化した現代社会において有意義な取り組みであったと考えられます。 それから2023年6月には海外フィールドワークとして現地調査を行いました。その成果は上記の出版予定の論文のなかの第4章となっています。その内容は、 分断の象徴DMZ(demilitarized zone・非武装地帯):記憶の場と観光の場(DMZ:持続する軍事的対峙と戦後(1960年代)の開拓動員、朝鮮戦争の最後の激戦地:鐵原白馬(ペクマ)高知:戦跡塔、慰霊碑、碑文、「平和」観光コース)のような章立てでまとめています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出版のための論文執筆が順調に進んでいるためです。
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今後の研究の推進方策 |
今後は論文の推敲をとおして出版のための論文の完成度を上げる作業に取り組む計画です。以下は現在作成中の論文の進行状況です。 タイトルは、記憶と世代;文化社会学的アプローチによるメディアの記憶のダイバーシティから考える世代理論におけるインターセクショナルな政治性の地平、です。目次は、序章 戦争の記憶と世代の記憶 第1章 記憶の継承と記憶の差異(記憶と人種) 第2章 戦争の記憶と勝利の影;戦死という正義 (記憶と階級)第3章 統一と平和の間;記憶と世代エンテレケイアー(記憶と年齢) 第4章 境界に立つ;激戦の記憶と観光という忘却が交わる場(記憶と忘却) 終章 世代の記憶と未来の記憶 参考文献 参考資料 索引【了】、のように章立てをして執筆中です。 それから、2023年度は調査や分析、論文執筆の作業が中心であったため、学会発表や報告会参加などはきちんとできていません。最終年度である2024年度は公共的な場における発信がきちんとできるように進めていきます。
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