研究課題/領域番号 |
22K01912
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
人見 泰弘 武蔵大学, 社会学部, 准教授 (10584352)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | ビルマ系難民 / トランスナショナリズム / ディアスポラ / 権威主義国家 / 越境的抑圧 / 出移民政策 / 難民 / ビルマ(ミャンマー) / 再難民期 / 宗教 / 仏教 / 社会統合 / 国際社会学 |
研究開始時の研究の概要 |
民政移管が進み難民の祖国への帰国や往来が見られ始めたビルマ(ミャンマー)では、2021年に軍事クーデターが発生し、難民の帰国の可能性は急速に狭まりつつある。本研究は軍事クーデターを難民の祖国への帰国や往来が広まり始めたポスト難民期から再び帰国可能性が狭まる再難民期への移住環境の転換点と捉え、これに対する難民の移住戦略の展開を日緬両国での調査研究から解明することで、難民問題の解決や課題発掘に寄与する学術的基盤の形成を目指す。
|
研究実績の概要 |
研究計画二年目は、以下の研究を遂行することができた。一つ目は、日本における難民研究の研究動向を整理し、日本社会への難民の社会統合過程の解明に力点を置く難民研究から、グローバルな文脈に接合した日本をフィールドとする難民研究へと重心を再配置することを提唱した研究論文の発表である。非移動性(Immobility)の中の移動性(Mobility)、難民受入国及び出身国における社会的境界と同一化・差異化のメカニズム、複数社会への帰属の同時性という国内の難民研究では未着手な研究課題を提案することができた。現在取り組んでいる研究課題である難民研究とトランスナショナリズム研究の接合を行い、学術的意義を整理することができた。 上記とも関連し、二つ目に、難民研究やトランスナショナリズム研究でも手薄であった権威主義国家による出移民政策論・ディアスポラ政策論に関する研究報告を行ったことである。移民送出国による海外労働者派遣やその管理を行う出移民政策とは異なり、軍事政権や独裁政権など難民流出を伴う権威主義国家の場合、出身国政府が政治体制の安定や治安の確保などを目指し、難民を含む海外同胞を支配及び統治する出移民政策が実施される。海外同胞に対する支配及び統治の形態に着目する越境的抑圧論の視点を援用し、滞日ビルマ系難民の政治行動に対して出身国政府が強権的な抑圧と服従化、プロパガンダなどを含む正当化等の手段を用いてそれらを統治すべく試みてきたことを指摘し、難民の移住戦略に対する出身国側の「上から」の介入の実態を明らかにすることができた。 また研究報告等の研究成果の発表と並行し、フィールド調査も継続的に実施することができた。すでに次年度の研究を遂行するための準備にも取り掛かっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はトランスナショナリズムの研究アプローチを展開することで、難民研究の新たな課題と出身国側からの難民に対する越境的関与を明らかにし、難民研究とトランスナショナリズム研究との接合を行うことができた。またビルマ系コミュニティでのフィールド調査や難民関連のイベント参加なども継続的に実施しており、次年度以降も調査研究を進めていく所存である。
|
今後の研究の推進方策 |
難民出身国側からマクロレベルで難民の移住戦略に与える影響の解明に取り組んだことをふまえ、次年度は難民当事者や集団レベルの動向の解明に軸足を置いて研究を進める予定である。引き続き、先行研究を徹底的に検証するとともに、今後の研究遂行に不可欠なフィールド調査を継続的に実施していく。
|