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アクターネットワーク理論による高齢者住宅居住者の自律性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K01915
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08010:社会学関連
研究機関新潟大学

研究代表者

伊藤 嘉高  新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40550653)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードアクターネットワーク理論 / サービス付き高齢者向け住宅 / 地域居住 / 自律性
研究開始時の研究の概要

本研究では、能動/受動の二分法を超えて事物の連関のなかで「自律性」を記述するアクターネットワーク理論を採用し、サービス付き高齢者向け住宅等で暮らす高齢者の生のネットワークを質的調査により記述し、さらに量的調査によって共起的・定量的に把握することで、自律を可能にする地域居住の条件を明らかにする。これにより、アクターネットワーク(さまざまなものとの連関)による生の自律という社会学的視点から高齢者の多様な自律性の獲得に寄与するとともに、アクターネットワーク理論に根差した科学論に基づく経験的研究を展開することで、フィールドワークの新たな社会科学的意義を確立する。

研究実績の概要

新潟市内のサ高住入居者を中心にインタビュー調査を行った(計20名)。その際、サ高住入居者の自律をめぐって、より根源的な問いにアプローチした。つまり、「そもそも、サ高住に住む高齢者が地域のなかで自律的に生活するとはどういうことなのか」という問いである。
具体的には、アクターネットワーク理論の方法を用いて、「地域居住」における「地域」をさまざまなヒトやモノとの連関として捉え返し、サ高住に住まう人びとがサ高住入居によって、自律を可能にする連関をいかに維持・変容・喪失しているのかを見た。
主な結果は以下の通りであった。1)新潟市内に住み続け、サービスを必要に応じて選べているという点では、「地域居住」は実現できているように見えるが、その内実は異なっていた。2)転居前の人間関係を維持できていたのは、近隣のサ高住に転居し、自宅も残っている場合に限られており、大多数は、転居前の人間関係が切れていた。3)転居後のサ高住の立地する地域のコミュニティに属するケースはなかった。4)サ高住内で新たな友人関係を構築できていたのは、趣味を媒介した少数派であった。5)趣味による媒介がない場合は、新たな友人関係を構築できていなかった。
そのうえで、「囲い込み」そのものが必ずしも問題になっているわけではない実態を踏まえて、サ高住入居者の自律を可能にする条件は、サービス選択の自己決定を可能にする制度的対応というよりは、それぞれの自律(できることが実際にできていること)を可能にする連関を集合的に組み直していくことを可能にする「サ高住の自治」の構築にあることを見出した。ただし、これはまだ暫定的な結論である。
今後、新潟においてもっと多くの多様な高齢者の方々の声を集めて可視化し、より多くの関心を集めていくことで、(絶対的な正解がないなかで)よりよい「生の自律」をともに構築していくことが重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍が収束しておらず、インテンシブな参与観察は依然として実施できていないが、継続的なインタビュー調査は問題なく実施できているため、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今年度の調査で得られた「サ高住の自治の構築」という視点から、特定のサ高住に焦点を当てて、インテンシブなフィールドワークを実施する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 自治体病院再編をめぐる「批判」とコスモポリティクス:青森県西北五地域を対象として2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 雑誌名

      年報 科学・技術・社会

      巻: 32 ページ: 3-30

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 岸政彦の「生活史」をアクターネットワーク理論と接続す2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 51 (11) ページ: 205-218

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 子どもの主体性とアクターネットワーク理論2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 雑誌名

      児童教育

      巻: 34 ページ: 5-8

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] モバイルなコミュニティ研究のための予備的考察―創発の社会学とその限界を超えて2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 雑誌名

      立命館大学人文科学研究所紀要

      巻: 134 ページ: 123-148

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] アクターネットワーク理論と記述的社会学の復権2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 51 (3) ページ: 242-253

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ドクターヘリ用ランデブーポイントの配置に関するGISシミュレーション―新潟県内消防本部等へのインタビュー調査を踏まえて2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高、石井亜実
    • 雑誌名

      東北都市学会年報

      巻: 19・20 ページ: 17-30

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 誤った研究をしないための科学論として ANT を提示する2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 学会等名
      科学社会学会第11回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ポストコロナを見据えたキノポリティクス(移動の政治)の視点から2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 学会等名
      日本都市社会学会第40回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 移動する地域社会学: 自治・共生・アクターネットワーク理論2024

    • 著者名/発表者名
      伊藤嘉高
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      知泉書館
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] アクターネットワーク理論入門2022

    • 著者名/発表者名
      栗原 亘、伊藤 嘉高、森下 翔、金 信行、小川 湧司
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      4779516714
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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