研究課題/領域番号 |
22K01926
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
野入 直美 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (90264465)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 米軍統治期 / 奄美 / 沖縄 / 復帰 / 公職追放 / 在沖奄美籍者 / 奄美引揚者 / 境界地域 / 分離時代 |
研究開始時の研究の概要 |
(1)米軍統治下の沖縄における公職追放が、法令の成り立ちと運用において日本における公職追放とどのように重なり異なっているのか、(2)奄美引揚者によって公職追放と後の「生」はどのように経験され、意味づけられてきたか、(3)奄美籍者に対する公職追放は、沖縄と奄美においていかに集合的記憶に刻まれ、またとりこぼされてきたのかを、①沖縄県公文書館のUSCAR文書、合衆国国立公文書館資料を中心とする資料研究、②奄美引揚者の生活史調査、③沖縄・奄美の地元紙と市町村誌の分析を通じて明らかにする。それによって、米軍統治下の沖縄を、境界変動、社会統合と排除を背景とする人の移動が起こった「境界地域」として論じる。
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研究実績の概要 |
日本移民学会大会(2023年6月25日、於神田外語代学)では本科研で得られた知見をもとにラウンドテーブルを企画・実施した。「米軍統治下の沖縄における移動と「植民地経験」」と題し、沖縄だけでなく奄美も射程に収めた。佐藤量「大連引揚者の外地経験と戦後沖縄労働運動:奄美・大連・沖縄をめぐる林義巳のライフヒストリー」、菅野敦志「剣道・台湾・引揚げ―米軍統治下沖縄の復興と松川久仁男」、飯島真里子「戦後沖縄における糖業復興:製糖経験と沖縄ディアスポラの連続性」、座間味希呼「戦後沖縄の糖業開発における大宜味村江州への開拓移住の経験」の4報告に続いて活発な質疑応答が展開された。 日本社会学会(2023年10月8日、於品川大学)では、本科研で得られた知見をもとに、一般報告「米軍統治下・沖縄における軍雇用と引揚者―引揚者在外事実調査の分析(2)」を行った。沖縄だけでなく奄美も射程に収めた。 沖縄社会学会(2023年11月18日、於奄美市市民交流センター)では、奄美群島の施政権の日本政府への返還から70周年になることを記念して奄美大島で大会が開催された。筆者は大会シンポジウム「奄美復帰70周年特別企画 奄美-沖縄から1950年代を問い直す」を企画・実施し、「奄美籍の琉球政府副主席・泉有平と沖縄の「自立」」と題して報告を行った。 出版物としては、本科研の研究内容と関連して、共編著『引揚エリートと戦後沖縄の再編』が不二出版から刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究によって得られた知見は学会報告・シンポジウムの企画実施および書籍の刊行によって順調に発信されており、それによって調査地において調査対象者へのフィードバックも行うことができている。調査対象者の高齢化、コロナ禍による高齢者施設の面接謝絶などの諸事情により、予定されていた沖縄における公職追放を経験した当事者からの聞き取りには困難が生じているが、当初、予想されていなかった奄美籍者の満洲引揚げ、戦後の南米移住というグローバルな移動が、米軍統治と密接にかかわりながら、沖縄―奄美間の人の移動に大きく影響を及ぼしていることが明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
米軍統治下において本土出稼ぎの途を断たれた奄美籍者がどのように沖縄へ移動し、基地経済の中でどのような経験をし、戦後沖縄の再編を下支えしつつも社会的排除の対象となってきたのかを実証的に明らかにする。併せて沖縄―奄美間の人の移動が、奄美への満洲引揚げ、戦後の奄美からの南米移民などのグローバルな移動とどのように影響を及ぼし合い、連動するひとつらなりの「出郷」として奄美の人びとによって生きられていたのかを明らかにする。
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