研究課題/領域番号 |
22K01934
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
紀 葉子 東洋大学, 社会学部, 教授 (40246781)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 日系社会 / 孤立感 / コロニア語 / コロニアの高齢化 / 日系人社会(日系コロニア) / 日系ブラジル人 / 日本語 / 孤立 / インターネット |
研究開始時の研究の概要 |
インターネットや国際放送の普及によって母国・日本の情報に直接触れることが可能になった日系ブラジル人が、母国との距離に反比例するかのように家族のなかで孤立化する傾向について、質問紙ならびにインタビュー調査を通して社会学的に分析することを試みる。子や孫世代とブラジル語でコミュニケーションをとることが容易でない高齢世代の孤立と、それを癒すコミュニティの存在について明らかにしてゆきたい。
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研究実績の概要 |
世界的なCovid-19の感染拡大に伴い、本調査研究の肝である現地調査が不可能になったため、進捗状況は思わしくなく、捗々しい研究実績を上げることはできなかった。仮設検証は不可能であるものの、現地調査を進めてゆく上で重要なサンパウロ大学の研究者との交流はwebを通して可能であったため、関係性を深めることが可能となっている。 感染拡大が収まり、海外渡航の制限が緩和されることを期待し、現地調査に向けての準備を進めてゆくことが可能となったことが今年度のわずかばかりの実績と言えるものとはいえ、コロナ禍に立ち往生するしかなかったというのが現実である。ただ、実際に、Covid-19の感染拡大は収束に向かいつつあり、現地調査も近いうちに可能になるものと思われる。邦字新聞の廃刊などにより、送出国の情報収集の手段はインターネットや衛星放送に頼る傾向があったが、コロナ禍によりその傾向に一層の拍車がかかったことが想定され、日系社会においてインターネットの利用頻度と家庭における孤立感の相関関係はより強くなったと思われる。新しく加わったコロナ禍の巣篭もりという要因も加えながら、より充実した調査研究を続けたいと考える。 サンパウロ 近郊の農家で幼少期を過ごした高齢者でポルトガル語よりも日本語を自らの母語として認識しているものの多くは熟年連合会などの集まりで日本語(もしくは日本語が現地語化したコロニア語)でもっぱら会話をしていた。が、こうした高齢者の多くはそのこどもや孫の世代とポルトガル語で会話することが容易ではなく、家庭内で孤立感を高める傾向性が見られた。日本語での情報を求めてインターネットでの日本語サイトの閲覧や衛星放送で日本語番組を視聴する傾向が強くなることで更なる家庭における孤立が進んでいるのかどうか、調査研究を通して明らかにしてゆきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の感染拡大にともない現地調査ができなかったことは致命的であり、仮説の検証が不可能なまま足踏みをしている状態である。が、こうした新しい変化が日系コロニアの解体とまではいかなくとも、コロニアの団結の衰退の要因となっていることは明らかであり、現在の足踏み状態をさらに遠くに飛ぶための長い助走期間と位置づけ、研究実績を確実にあげることができるように努めてゆきたい。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査か可能になり次第、サンパウロ大学の研究協力者の助けを受けながら、現地調査を行いたい。まずは23年度の学生の夏季休暇期間を利用して現地調査を行い、秋以降に得られたデータを整理してゆきたい。24年度にサンパウロ大学の研究協力者のレビューを受け、さらなる仮設検証の現地調査を行い、まとめたものを学会等で報告し、他者からの評価を受けながら研究の精緻化を図るものとする。
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