研究課題/領域番号 |
22K01936
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
イシ アンジェロ 武蔵大学, 社会学部, 教授 (20386353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 移民 / 在日ブラジル人 / 終活 / 墓活 / 歴史化 / 集合的記憶 / トランスナショナル / 周年記念 / 死、終活 / 高齢化 / 死 |
研究開始時の研究の概要 |
故国を離れた移民の死に対する向き合い方は、いかなる要素によって規定されるのか。この問いを解明するために、本研究では日本での滞在歴が長いブラジル系移民やその遺族を対象に聞き取り調査を行い、「終活」や「墓活」のキーワードを中心に、死に向けた準備や、死を機に発生する人やモノ(遺骨等)の移動を網羅的に捉え、遺言、葬儀、墓地の確保、遺体の扱いや保管などをめぐる移民やその家族(遺族)の意識とトランスナショナルな実践を社会学的に考察する。
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研究実績の概要 |
本研究の主題は、日本に在住する代表的な移民集団である、日系を中心としたブラジル人の高齢化によってどのような「死」をめぐる諸問題が顕在化しているか、そして在日ブラジル人コミュニティのリーダーがいかにコミュニティの移住の「歴史」を記録しつつあるかを考察することである。今年度の前半には、在日ブラジル人の中で初めて「日本でお墓を買った」と明言してくれたマスコ氏(『ひとびとの精神史 第7巻 終焉する昭和 1980年代』岩波書店を参照)が葬られた静岡県浜松市内の墓地を、その葬儀を取り繕ったコミュニティリーダーK氏と共に訪問し、K氏に聞き取りを行なった。他方、11月には、在日ブラジル人のR.F氏が成田空港の飛行機内で死亡したのを受け、ブラジルから緊急来日した息子を群馬県大泉町のRestart Communityがどのように支援したかを調査した。その息子が同席する形で公開葬儀が開かれたが、筆者はそれを参与観察し、遺族や支援者にヒアリングも実施した。 また、今年も開かれた共同墓地での合同供養(ブラジルのお盆カレンダーに合わせた催事)についても関係者にヒアリングした。 一方、日本ブラジル移民の日(6月18日)にちなんで上記の支援団体が大泉町で開催した記念シンポジウムでパネリストを務め、在日ブラジル人の歴史と展望について関係者と議論を交わした。 国外調査に関しては、英国で調査を行ない、最も代表的な支援組織であるCasa do Brasilの専属職員に在英ブラジル人の終活について聞き取りを行なった。また、ポルトガルのミーニョ大学で第2回CIMDAB(ブラジル系移民及びディアスポラの国際会議)に参加して研究発表を行なった。CIMDABで発表するにはアブストラクトによる選考(査読有り)が条件であるが、無事に採択された。大会では、高齢化する移民への対応を議論する発表を複数聞くこともできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で培った人脈を糧に、日本国内で死を迎えたブラジル移民とその家族や友人の「終活・墓活」をめぐる個人の具体的な事例研究ができた。共同墓地についても昨年度に続き、調査できた。ただし、少数の事例について貴重な証言が得られたものの、その代表性については確信が得られていない。他方、集団(コミュニティ)レベルで在日ブラジル人の高齢化に伴う課題にどう向き合っているか、そして「歴史化」にどう取り組んでいるかについても新たな成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、在日ブラジル人および在外ブラジル人の個々人およびコミュニティレベルでの終活に関する動向を把握する。並行して、もう一つの研究課題として重視している、これらの新移民による移住体験の総括と「歴史化」をめぐる動向についても補足調査をする。さらに、これまで収集したデータの分析を試みる。
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