研究課題/領域番号 |
22K01940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
木本 玲一 相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (70512078)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ボクシング / 太平洋戦争 / 近現代 / 総動員体制 / 統制 / 軍隊とスポーツ / グローバル化 / ローカル化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、太平洋戦争期のスポーツの変質や、軍隊とスポーツの関係、あるいは戦中期の大衆文化の統制などに関する先行研究を発展的に継承しつつ、さらに申請者がこれまですすめてきた日本のボクシングの歴史に関する学術的な議論をふまえ、①戦中期における個々のボクサーやジムの実践の状況、②当時ボクシングに対する「干渉」をおこなった軍部、警察などの外的な組織の状況、③統制のなかでボクシングのことを報道し続けたメディアの状況をあきらかにすることをめざすものである。
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研究実績の概要 |
当初の計画通り、戦前のボクシング雑誌の蒐集を開始し、その分類、分析をすすめている。現時点で入手できたものからは、戦中のボクシング界が比較的積極的に軍部に協力していたことがうかがえる。特にある時期から専門誌に翼賛的な記事(その多くは業界関係者たちによるものである)が掲載されるようになったことがわかったのは収穫であった。これまで戦中のボクシングに関しては、軍部や警察の圧力を強調する回顧などが多い。しかし蒐集した雑誌からは、これまであまり指摘されてこなかった戦争協力の一側面がうかがえる。今後も蒐集と分類、分析を続けたい。 また蒐集したデータについては、非破壊スキャナを用いてデジタル・データ化をすすめている。現在はまだ私的な利用を前提としたデータ化であるが、今後それらを公開することを見据え、そのための方法などについても考えていきたい。 戦中の様々な統制やスポーツと軍の関わりなどに関する先行研究の検討もすすめている。先行研究で戦中のボクシングを取り上げたものはほぼないが、本研究をより一般的な議論と接続するための学問的枠組みをつくるうえで、先行研究の検討は重要な意味を持つ。 今後は蒐集した雑誌等の分析をすすめながら、すでに入手している個人の日記、関連データなどと統合し、戦中のボクシング実践や興行、さらには戦線でのボクサーがボクシング技術を兵士としての実践と結びつける様などを複合的な視点からまとめていきたい。その結果は、助成の最終年度までの間に、投稿論文や学会発表などのかたちで発表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね予定通りに推移している。古書が思いのほか入手できたため、初年度に購入予定であったPCなどの物品の費用を充当し、それらは次年度以降に購入することとした。ただしボクシング雑誌の蒐集に関しては、古書市場やオークションに出品されるか否かという不確定要素が大きいため、今後は予定通りにいかない可能性もある。それ以外の部分については、ほぼ予定通りにすすめられている。さらに今後のアウトプットのために必要な作業をすすめていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究をすすめるうえでは、雑誌資料の蒐集が引き続き重要な意味を持つ。それに加え、戦中期の興行の統制に関係する資料や、個人の日記などの記録も、可能な限り入手につとめていく。さらにスポーツと軍隊、興行の統制などに関する関連文献をもとに、研究の理論的枠組みの補強につとめていきたい。そして蒐集した資料をしっかりとした理論的枠組みのもとに提示し、戦中期におけるボクシングの全体像を示していきたい。その結果は、助成の最終年度までの間に、投稿論文や学会発表などのかたちで発表していく予定である。
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