研究課題/領域番号 |
22K01941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
丸山 千賀子 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (20324965)
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研究分担者 |
大山 小夜 金城学院大学, 人間科学部, 教授 (10330333)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 消費者団体 / 消費者政策 / コーポラティズム / 社会的世界 / 消費者運動 / 事例研究 |
研究開始時の研究の概要 |
消費者問題は、近代市民法の一原則である「契約の自由」が貫徹しない社会問題の典型例であり、「権力界」(=立法・行政・司法)からの介入を要する。これに対して、市場や権力界に働きかけて未組織の消費者の利益を追求する多数の消費者団体がある。本研究は、「権利主体としての消費者」の「自立支援」という理念を掲げる日本の現消費者政策の下、消費者団体界と権力界の相互浸透が進むことの実践的、理論的意味を検討する。 具体的には、日本の現消費者政策の実践過程を、推進体制を構成する具体的な諸力の関係に着目して明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、二つのリサーチクエスチョンを掲げた。【Q1】消費者団体界は、コミュニケーションの切断を最後の手段としながら、推進体制内でどうふるまい、何をどう求めているか、【Q2】人的、財政的基盤の弱い消費者団体界は、消費者行政と相互浸透を進めることの課題をどう認識しているか。人的、財政的な自律戦略はいかなるものか。 これらのクエスチョンに対し、国内調査と海外調査を行った。国内調査は、行政からの委託事業で運営されている消費者団体の実態について、公益財団法人A(以下A団体)の事例調査を行った。具体的には、A団体の月1回の定例会議に参加し、運営状況を把握するとともに、ワーキンググループを立ち上げて、団体の運営上の課題を炙り出した。ワーキンググループの趣旨は、事務局メンバーが団体の存続と発展を目指して情報交換を行い、多方面から運営の工夫を検討することと、常に団体の発展へ向けての意識を高めるための啓発活動である。ミーティングの形式は対面とオンラインのほか、その議事をまとめた紙面をメールで送信して、事後に共同でまとめていく紙面会議という多様な形態をとって、その効果を測っている。これまでの会議において取り上げられなかった様々な問題点が浮き彫りになってきているが、一部には新しい動きに対する抵抗もあり、この辺りも今後の変革を考える際には、興味深い要素である。 その他の国内調査としては、2014年改正消費者安全法で設置可能となった消費者安全確保地域協議会(以下、協議会)の背景・経緯・現状についても情報収集を行った。 海外調査は、研究協力者や業者への委託と文献調査により、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカの消費者組織と消費者政策機関の情報を収集し、消費者団体界と権力界の相互浸透が進む欧米、欧州の消費者団体と政府機関について、これまで調査してきた結果と比較しながら情報をアップデートした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度もコロナ禍にあったため、出張や調査に制限があった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和4年度の成果を踏まえ、引き続き【Q1】【Q2】について研究を進める。国内調査に関しては、A団体の事例調査をさらに進め、行政の競争入札による事業委託を持続的に確保し、体制(財政・人的基盤)をどう整えていくかを探る。この事例が日本の消費者団体の存続・発展に向けた一つのモデルケースとなりうるかを観察する。 もうひとつの国内調査は、協議会において個人情報の共有をめぐる関係者間の相互作用を分析することである。協議会は、高齢化、高額化、複雑化する消費者被害の対策・予防として、地方公共団体の庁内間のみならず、官民間での個人情報の共有を可能にする。「協議会設置に向けた関係者の認識や人的、組織的基盤の形成」「個々の情報の扱いをめぐる意思決定過程」「具体的な介入や対策の実施」の局面において消費者行政や他の諸団体との間でいかなる相互作用が展開しているかを探ることを通じて消費者団体界の取組みを類型化する。 海外調査は、引き続きフランス、イギリス、ドイツ、アメリカの現状を調査し、次年度には書物にまとめる予定である。 令和6年度~7年度は、それまでの調査研究で得られた知見を踏まえ、【Q3】現消費者政策において、消費者団体界は、従来の国・地方自治体・事業者からなる推進体制に新たな成員として加わっているが、このような協調体制は消費者政策にいかなる影響を及ぼすか、【Q4】公正かつ持続可能な社会の実現に資するために消費者団体はいかなる組織体制を構築すればよいか、という新たなリサーチクエスチョンを立て、国内のみならず海外においても現地調査を行う。
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