研究課題/領域番号 |
22K01963
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山田 祐子 日本大学, 文理学部, 教授 (90248807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 高齢者虐待 / 虐待 / 死亡 / 検証 / 介護殺人 / ソーシャルワーク / 権利擁護 / 地域包括支援センター |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、都道府県、市区町村の高齢者虐待による死亡事例等における検証から導き出された課題から、ソーシャルワーク(社会福祉援助技術)の支援方法の評価と再規準化を行い、高齢者虐待防止ソーシャルワークモデルの構築を目指す。具体的には (1)都道府県、市区町村および関係機関等に調査を行い、数量把握も含めた実態把握を行う。 (2)(1)から導き出される課題の抽出から、ソーシャルワーク(社会福祉援助技術)を中心に支援方法の評価と再規準化を行う。 (3)(2)をもとに、①包括的な支援理論である高齢者虐待防止ソーシャルワークモデルの構築、②包括的な高齢者虐待防止施策、について具体的内容を示すとともに提言を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度年度の研究計画は、全国調査の予備調査と全国調査の実施である。 2023年度の研究の実施については、新型コロナウィルスの感染拡大の状況に配慮しながら行うこととしていた。予備調査と全国調査の実施にあたり、以下のような検討を行った。 ①2023年5月8日より、新型コロナウィルスについて分類が5類となったが、高齢者施設は職員等の感染リスクが却って高まると予想され、関係専門職の多忙な状況は継続すると推察されたこと、また感染拡大が本研究テーマに、どのような影響が出ているかについて情報収集を継続し検討する必要があること。②2023年度においては高齢者虐待防止ソーシャルワークについては大きな動きがみられた。厚生労働省老健局が市町村・都道府県担当者向けの高齢者虐待対応と養護者支援の手引書である『市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について』(以下「厚労省マニュアル」と記す)の改訂作業を日本社会福祉士会に委託し(申請者も委員として参加)。2023年度に内容の公表がされたことから、内容の確認を行い、高齢者虐待防止ソーシャルワークの構築についての分析を行うこととした。また日本社会福祉士会の「標準研修プログラム」は全国の高齢者虐待防止を担う社会福祉士にとって重要であるが、2023年度において厚労省マニュアルの改訂に準じたプログラムの改訂作業が行われたので、その内容についても調査し、分析する必要が生じた。③厚労省マニュアルは、市町村や都道府県の担当者の高齢者虐待対応基準と指針であるので、改訂は支援の内容と質にも重要な影響をもたらすこととなり、その普及・定着状況にも配慮する必要がある。 以上のことから、総合的判断で、全国調査の時期は延長するとともにリサーチデザインの再検討を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画は、2022年度においては、①文献調査と資料収集、②全国調査実施前の予備調査、2023年年度においては、全国の都道府県、市区町村の高齢者虐待防止主管課への郵送の質問紙調査とその分析であった。2022年度においては、文献調査と資料収集を中心に行い、予備調査については、新型コロナウィルスの感染拡大の状況に配慮しながら行うということで延期をした。2023年度については、①新型コロナウィルス感染症の分類が5類となり収束に向かいつつも、高齢者施設は職員等の感染リスクが却って高まるとも予想されるとともに関係専門職の多忙な状況は継続すること、②2022年度厚労省マニュアルの改訂後の、2023年度の日本社会福祉会の標準研修プログラムの改訂の影響から、予備調査および全国調査の実施は延期することとした。 また本研究は、虐待による死亡事例等の検証と高齢者虐待防止ソーシャルワークの構築について研究するので、虐待による死亡事例等の検証についても、調査研究をする予定でいた。しかしながら新型コロナウイルスの感染拡大が虐待による死亡事例等にどのような影響を及ぼしているのか、また検証作業にもコロナ下で疲弊していると推察される関係専門職への影響についても視野に入れ、情報収集を継続しながら、リサーチデザインの再検討を行い研究の遂行をしていく。 なお日本における高齢者虐待防止実践の法的根拠となる高齢者虐待防止法の改正の動きが、2022年度から本格的に開始され、現在に至るまで継続している。申請者が事務局長である日本高齢者虐待防止学会の改正案は、検証の推進や専門的支援の質の向上を図る体制整備についても改正案に盛り込んでいるため、この法改正案が国会で通過すれば、高齢者虐待防止の推進とともに、本研究の枠組みも大きく変化する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
現時点において、2024年度の厚生労働省の関連研究事業等で、厚労省マニュアルの改訂が計画されている。厚労省マニュアルの改訂は、2006年3月策定し、平成29年度(2017年3月)、令和4年度(2023年3月)改訂作業を行っている。厚生労働省マニュアルについては、平成29年度の改訂作業の前に、2008年度より日本社会福祉士会が厚生労働省の研究事業で実施した、厚労省マニュアルを「補完」するマニュアルを作成し、計4冊を出版し、それをもとに標準研修プログラムそして日本で初の認定上級社会福祉士の認証プログラムを研究開発している(申請者は委員および監修)。その研究事業の後、平成29年度に初の改訂作業を厚生労働省は行っているが、その内容は日本社会福祉士会のマニュアルを大いに反映させており、それに伴い日本社会福祉士会の研究開発した「虐待対応ソーシャルワークモデル」も反映させた内容となっている。2度目の改訂作業(令和4年度)においては、日本社会福祉士会に業務を委託し、令和6年度は、政府系の認知症介護研究・研修仙台センターに、厚労省調査(2006年4月高齢者虐待防止法施行後、厚生労働省が毎年実施している「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」)とともに、研究事業を委託している。厚労省マニュアルは、市町村や都道府県の担当者の高齢者虐待対応基準と指針であるので、改訂は支援の内容と質にも重要な影響をもたらすため、令和6年度厚労省マニュアルの改訂作業の情報収集と分析が加わることから、リサーチデザインの再検討についての作業をさらに行っていくこととなる予定である。 本研究期間においては、①コロナ下の影響、②高齢者虐待防止法改正の動き、③厚労省マニュアルの改訂(2023年3月および2025年3月予定)について配慮しながら研究を推進する予定である。
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