研究課題/領域番号 |
22K01966
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
寺田 貴美代 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70352680)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | DV被害者支援 |
研究開始時の研究の概要 |
配偶者暴力相談支援センターに寄せられるDV相談件数は過去最多を更新し続けており、日本で暮らす外国人にもDV被害が急増している。DVと児童虐待が重複しているケースや、国際人身取引の被害者でもあるケース、再発防止のために加害者対応が不可欠なケース等、専門的対応が必要な場合も多く、外国人被害者への十分な支援体制は確立していない。 そこで本研究は、外国人被害者と子どもの被害実態と支援上の課題を明らかにするとともに、多文化ソーシャルワークを用いて被害者支援体制を構築する。そして、長期的かつ多面的対応が可能な支援プラットフォームを開発する。
|
研究実績の概要 |
外国人DV被害者の中には、母国への帰国を希望したり、国際人身取引の被害者でもあったりするケース等、国際的対応が不可欠な場合がある上、面前DV等による子どもへの影響も拡がっており、それぞれのケースに対応した多様な支援提供が必要となっている。しかし、これらに対応が可能な体制は必ずしも整っておらず、専門的対応が可能な支援体制を整える必要がある。 そこで2022年度においては主に加害者対策を中心に現状を整理した上で、具体的な取り組みを把握し、それらの課題についてまとめた。具体的には地方公共団体と民間機関等が連携してDV加害者プログラムに取り組む必要性が従前より指摘されてるものの、DV加害者プログラムの提供は民間機関が中核的役割を担っている現状を整理した。その上で、これまでに一部の地方公共団体で実施されたDV加害者プログラムの課題を整理し、今後の加害者対応のあり方について考察した。 その結果、直接的な当事者への対応という観点だけでなく、地域の安全性の向上など広範な地域課題の解決という観点からも、地方公共団体が実施主体となってDV加害者プログラムに取り組むよう求められていることが明らかとなった。それにもかかわらず、多くの地方公共団体がDV加害者プログラムを実施していない背景としては、効果に対する懐疑的な意見が存在することや、法的位置づけの不明確さ、DV加害者プログラムに関する情報不足、加害者が自己正当化に利用することへの懸念、予算確保の問題など多様な要因が関係し、実施の阻害要因となっていることが明らかとなった。また、日本においては裁判所命令などによってDV加害者プログラムへの参加が加害者に義務付けられておらず、任意参加が前提となっている。そのため、加害者に自発的参加や継続参加を促す手段が大きな課題となっていることも明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究テーマである「外国人DV被害者とその子どもへの支援における国際連携プラットフォームの構築」は、2022年4月から開始した研究であり、その後、2023年4月時点までの1年間において、本研究の調査協力団体における事情により、研究計画の一部を次年度に順延する必要性が生じた。しかしながら、全体としては大幅に支障をきたすような問題は生じていないと理解している。また、調査協力団体からは、引き続き、本研究に対する研究協力について了承を得られており、現在も特に問題はなく、順調に研究を進めることができている。これらの状況を総合的に捉えつつ、当初の研究計画書に記載した予定ををもとに本研究課題の進捗状況について自己点検を行った結果、おおむね研究計画と一致して研究を遂行できていると考えるに至った。したがって、本欄、「現在までの本研究課題の進捗状況」に関しては、「おおむね順調に進展している」という区分を選択することが適切であると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度においては国や地方公共団体、民間機関など、多様な関係機関が連携した包括的なネットワークの必要性が把握できた。そのためDVの当事者や支援機関のみならず、広く社会資源を把握し、地域や機関の特性を活かした連携体制づくりを行うことが期待されていることが明らかとなった。 ただし、日本で導入されているDV対策の多くが海外で開発された支援モデルに基づいていることから、その前提となる文化や社会が異なる点を踏まえてプログラムの有効性や課題について検証した上で、内容の充実を図ることが不可欠である。 そこで2023年度は、被害者や加害者へ直接的にかかわる支援提供のみならず、文化的・社会的な背景を理解し、個人と社会環境の連続性に留意した支援体制の構築するための方策について検討したいと考えている。それにより、コミュニティや社会的ネットワークへのアプローチを含む、包括的支援を可能にするための方策について明らかにすることを計画している。
|