研究課題/領域番号 |
22K01970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
岡山 正人 広島商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (70194412)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 過疎地交通 / 高齢化対策 / 公共交通 / コミュニティ意識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、三原市や海上交通の運営事業者に対するヒアリング、町内会長などの島民の 代表者との会合、全島民を対象としたアンケート調査を実施し、得られた調査結果を統計的に分析することで、佐木島で運行するヒッチハイク型交通システムの導入可能性を検討するとともに、実際に導入するシステムの概要を設計する。
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研究実績の概要 |
昨年行った三原市会議員田中氏や島民の代表の方とのヒアリングの結果、2019年に実施した佐木島島民を対象に実施したアンケートデータによる島民の交通実態の集計結果などから本データの信頼性が高いと判断し、さらにこのデータをもとに集計分析を進めることにした。こうした集計結果とヒアリング内容を加味して検討した結果、以下のような知見および交通システムに関するアイデアを整理した。 まず、現状の「しまバス」の運転手の高齢化などから「デマンド型交通」のように運転手の常駐が必要であるシステムでは持続が困難であると判断した。また、島民の6割はスマートフォンを利用していないため「ライドシェア交通」のような所謂アプリの使用を前提にしたシステムは佐木島には馴染まないと判断した。 次に本研究で提示したヒッチハイク型の交通システムについて佐木島島民の支持を分析したところ、現行のしまバスが最も支持があったが、提案した新たなシステムの中では「過疎地有償運送」が最も支持されており「ヒッチハイク型交通」にも一定の支持があった。また、しまバスのサービスに満足な人はヒッチハイク型交通を、不満な人は過疎地有償運送を支持する傾向が見られた。さらにこの2つについて利用したい理由、したくない理由について分析した結果、過疎地有償運送の予約が面倒、運行回数が少ないといった欠点をヒッチハイク型交通で補える可能性を示すことができた。 以上の結果から過疎地有償運送の運行日にはヒッチハイク型システムとの並行運行を行うことで、過疎地有償運送の欠点や予約を忘れた時はヒッチハイク型交通で補い、過疎地有償運送の運休日にはヒッチハイク型交通により島民の移動をサポートする両システムの併用が良いと考えられた。 以上のような結果を前述の田中氏に報告したところ好印象ではあったが、過疎地有償運送の導入には時間がかかるなどいくつかの指摘を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在分析している佐木島島民を対象に実施したアンケート調査データが非常に有意義なものであることが、島民の交通実態の集計結果の概要などを確認いただいた田中市会議員や島民の代表の方の意見から確認できたため、この調査データをさらに詳細に分析するを進めることとした。そのため、この調査結果を使って集計分析を重ねることで、「ヒッチハイク型交通」と「過疎地有償運送」の併用する方法が得策であるといったアイデアをまとめることができた。また、こうした分析結果から得た方法を田中氏をはじめ、数人ではあるが島民の方に見ていただくことができ、様々な意見をいただくこともできた。 現在はこのアンケートデータについて単なる集計分析だけではなく、多変量解析法などより高度な統計的手法を使って、より詳細に分析を重ねているところである。 しかしその一方で、当初予定していたアンケート調査結果の分析結果をより多くの島民の方に見ていただくための会合が、研究者側のコロナウィルスの感染やインフルエンザの流行などでほぼ開催できていない。そのため、島民の方たちからの直接的な意見徴収がほんの数人の代表者に限られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアンケートデータを多変量解析的な手法により、より詳細で精度の高い分析を進めていくことを中心に研究を進めていきたい。こうした分析結果から、現在単なる集計分析から得られた結果、特に「ヒッチハイク型交通」が佐木島島民に一定程度評価される可能性があることや、ヒッチハイク型と「過疎地有償運送」の併用する方法が得策であることの更なる核心を得たい。 また、実施できていない島民との会合についても何とか開催し、アンケートデータで得られた分析結果をもとに、島民の多くの方にヒッチハイク型交通や、過疎地有償運送との併用による新たな交通システムの理解が得らえればと考えている。 最後に以上の研究結果を通じて、佐木島における新たな交通システムについて提案するとともに、これらの成果を論文にまとめたい。
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