研究課題/領域番号 |
22K01971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
我澤 賢之 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害福祉研究部, 主任研究官 (90360685)
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研究分担者 |
白銀 暁 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (90404764)
星野 元訓 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 学院(研究所併任), 義肢装具士 (30425657)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 補装具費 / 座位保持装置 / 基本工作法 / 福祉用具・支援機器 / 障害(児)者福祉 / 健康・福祉工学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、補装具等の福祉用具について、その適切な価格設定の検討に資する情報の収集とそれに基づく新たな提案を通じ将来に渡って持続可能な供給システムの構築に貢献することにある。具体的には補装具の座位保持装置を例に、その供給に関係する一連の過程における課題を明確化し、用具自体と付随サービスの費用算定のための供給過程区分方法を開発して提案する。 下記を目標とする。 ・座位保持装置等の福祉用具の製作に用いられている工作法等を含めた一連の過程を明確な形で整理するための「供給過程区分方法」を開発する。 ・上記の開発作業と並行して、現状用いられている工作法のいくつかについて、具体的な内容をまとめる。
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研究実績の概要 |
前年度準備を進めた「想定される用具の仕様の明確化と工作法のリストアップ」について、座位保持装置の製作事業者を対象に調査を実施し、調査結果をまとめた。明らかになった主な点は次のとおりである。まず仕様については(1)支持部の部位(例えば、体幹部+骨盤・大腿部)ごとの仕様を明らかにした。完成用部品を使用する座位保持装置は回答を得られた全台数の37%を占めた。(2)構造フレームについては同じく木材を主材料とするものが13%、金属を主材料とするものが21%、車椅子・電動車椅子をベースにするものが29%、完成用部品によるものが36%、その他が1%を占めた。(3)現行の補装具の基準の製作要素に含まれないものとしては、(a)装着部分以外による長さの調節機構、(b)胸ベルトや肩ベルトの高さ(取り付け位置)の調節機構を出荷全数に取り付けている事業者が有効回答事業者全体の3分の1程度あることが明らかになった。一方、製作方法については、(4)体幹部+骨盤・大腿部については、従来方法による採型(以下、「採型従来」)が回答を得られた全台数の10%、デジタル3D技術による採型(以下、「採型3D」)が21%、採寸が69%を占めた。(5)構造フレームについては同じく採型従来が7%、採型3Dが26%、採寸が67%占めた。これらの結果を踏まえ、想定すべき基本工作法の類型として仕様の大筋は現行基準に沿うこと、製作方法については採型を採型従来と採型3Dに分けて実施する仮方針を定めた。 なお他の成果として、補装具費の支給状況について人口10万人あたりの購入決定件数について、障害者自立支援法施行翌年度となる2007年度から2021年度までの推移について、(1)全種目平均を都道府県ならびに指定都市ごとに集計したもの(2)全口苦集計値を補装具種目ごとに集計したものをまとめ、学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は概ね年度当初時点の予定どおり進捗したものの、令和4年度に研究計画を修正したことにより当初計画に比べるとやや遅れが生じている。研究開始当初予定していた「想定される用具の仕様の明確化と工作法のリストアップ」をより抜本的に製作事業者への調査をともなう形で実施することとした。初年度である令和4年度は、元々現在製作される用具の仕様・タイプと工作法、その組み合わせ・パターンについて、製作事業者からの情報収集等を踏まえ想定を整理してリストアップすることを予定していた。しかし、後述の理由により当該作業をより本格的に行うこととし、有識者への聞き取り調査等情報収集作業を経て、令和4年度末時点で調査票案を作成した。令和5年度はこの計画変更を踏まえ当該調査票をブラッシュアップしたうえで調査実施し集計を行った。なお、これにともない、令和4年度後半から予定していた「工作法の精査」は令和6年度以降に後ろ倒しすることとした。 研究計画変更の理由は、当初半年程度の作業を見込んでいた「想定される用具の仕様の明確化と工作法のリストアップ」についての作業を進めるなかで、その情報収集に時間を要することが明らかになったことである。既存統計の活用を計るには、厚生労働省による統計の福祉行政報告例の補装具関連部分には粗い分類しかない。また個別の製作事業者に情報収集を図ったところ、事業者間でバリエーションが大きいのか、全体像を知ることができないことが明らかになってきた。さらに仕様と工作法の組み合わせを考えるうえで、当初仕様としては構造フレームの区分のみを想定していたのに対し、支持部の構成を含めたより細かい把握をする必要があることが、有識者からの情報収集により明らかになった。そこで一度広汎な製作事業者を対象にこの点に関する調査を実施する必要があるとの判断に至り、当該調査に時間を掛けることとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は令和5年度の調査結果と基本工作法検討の仮方針を踏まえ、具体的な製作等の諸段階の検討作業を行う。仮方針として、仕様の大筋については従来の補装具費支給基準をベースにする一方で、採型・採寸の区分については採型を従来技術によるものとデジタルな3D技術によるものとに分けその双方について工作法をまとめることにする。また仕様についても、製作要素(もしくは付加構造・付属品)として実際には現行基準にない調整機構の製作を含めることを選択肢として留意してとりまとめを行う。これにともない制度で想定される製作要素等追加の提案についても検討を行う。 令和6年度上半期に研究班内で工作法の草案を作成し、下半期以降実際の製作現場に詳しい製作事業者等有識者を加えての検討を行う予定である。さらに、製作過程と併せて実際に製作に取りかかる前の段階と納品後の段階における必要過程についても取りまとめる。 当初予定では令和6年度は最終年度である。基本工作法検討の途中段階で、より深い検討が必要になるあるいは実地に工作を行うなどで時間を要することが明らかになった場合、研究期間を延長する必要があるかの判断を行うこととする。これは当初計画になかった予備調査作業が必要となりこれに令和4年度から令和5年度の期間を充てたためである。
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