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障害者のパーソナルアシスタンス制度における意思決定支援形態の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01993
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08020:社会福祉学関連
研究機関同志社大学

研究代表者

鈴木 良  同志社大学, 社会学部, 教授 (90615056)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード日本 / 自立支援協議会方式 / 重度知的障害者 / 重度訪問介護 / アクションリサーチ / スウェーデン / パーソナルアシスタンス / 事業所関与型 / 協同組合 / 障害者 / 意思決定支援 / 質的調査
研究開始時の研究の概要

障害者のパーソナルアシスタンス(以下、PA)制度の研究における重要な学術的問いの一つは、PA制度利用者の支援形態を比較することによって意思決定支援が求められる障害者の支援方法とは何かを明らかにすることである。
本研究では、PA制度の支援形態を1)協同管理型、2)組織管理型、3)本人管理型、4)家族管理型に仮説的に分類した上で、各支援形態の利用者の特性・環境的条件・支援機能・効果/課題を明らかにすることを研究目的として設定した。研究方法は1)と2)の支援組織を歴史的に発展させてきた北欧と、3)と4)のネットワークを歴史的に発展させてきた北米及び日本における事業所/関係者を対象に質的調査をする。

研究実績の概要

今年度は、日本のZ市のパーソナルアシスタンス制度に関わる調査研究の結果に依拠して、パーソナルアシスタンスの意思決定支援の成果と課題を明らかにした。具体的には重度知的障害者の入所施設から重度訪問介護を利用した一人暮らしへの移行がどのような意思決定支援の方法によって実現されるのかを明らかにした.
研究方法は、Z市の障害者自立支援協議会の地域生活移行プロジェクトを対象と、アクションリサーチ法を採用した.具体的には、強度行動障害のある重度知的障害者であるAさんの施設から重度訪問介護を活用した一人暮らしへの移行を行なったX市の障害者自立支援協議会の地域生活移行プロジェクトを調査対象とした. 私は、2022年2月に当プロジェクトの座長として就任し、まとめ役を担ってほしいとY事業所に依頼された.当プロジェクトの関係者の承諾を得た上でプロジェクトの成果や課題について調査しながら私は関与することになった.当プロジェクトは2024年2月に最終のプロジェクト会議を行なった。
調査方法としては、キーファーのアクション人類学の方法に依拠した。
この結果、第一に、移行支援のアクターとして、自立支援協議会方式が採用され、自己決定の尊重と障害者権利条約の理念を重視する価値が基盤にあることが分かった.第二に、本人支援として、1)同一の支援者が継続的に関わり、2)施設でのコミュニケーションの方法やライフスタイルを尊重し、3)地域のモノ/活動への移行を積極的に行い、4)非管理の対応が取られ、5)構造化との距離化が図られていた。第三に、地域生活の基盤整備として、1)住宅の確保と環境整備、2)協働による重度訪問介護の支給決定の交渉、3)漸進的引継ぎと非管理的支援の共有、4)家族支援、が行われていることが明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、第一に、前年度に引き続き、スウェーデンのパーソナルアシスタンス制度の意思決定支援の形態の特徴を整理分析し、出版のための準備を進めることができた。具体的には、1)対象者とニーズ、2)支給決定の方法(アセスメント、給付金の支払い)、3)サービス提供の担い手(組織の介在のあり方、家族によるパーソナルアシスタント、パーソナルアシスタントの雇用保障)、4)費用、という観点からスウェーデンのパーソナルアシスタンス制度の特徴と課題を整理した。これによって、日本の重度訪問介護制度を活用したパーソナルアシスタンス制度への提言内容を明らかにすることができた。
第二に、Z市で実施してきたアクションリサー法による研究成果を一定程度まとめることが可能になった。研究費を通して、参与観察記録やインタビュー調査のデータを文字起こしすることが可能になり、データの分析を効率的に実施することが可能になった。
アクションリサーチ法によるデータを整理・分析することを通して、日本の重度訪問介護制度を活用したパーソナルアシスタンス制度における一つの意思決定支援形態を明らかにすることが可能になった。
すなわち、本研究で示された自立支援協議会方式という意思決定支援形態は、スウェーデンのように組織関与型の支援形態でありながらも、地域の事業所や行政関係者が共に関与する新たな意思決定支援の形態であり、その特徴と課題を明らかにした点が重要である。重度知的障害者の重度訪問介護利用は全国的に数少ない先駆的取り組みであり、より良い支援を実現させる上で、行政と民間事業所が協働関係を形成することが一定程度の役割を果たすことが明らかになった。
このような研究成果を示すことができたため、(2)と評価した。

今後の研究の推進方策

次年度は、札幌市のパーソナルアシスタンス制度の歴史・制度・支援の実態についてインタビュー調査や文献調査の結果に依拠して、整理する予定である。札幌市は自治体として、全国に先駆けてダイレクトペイメントを活用したパーソナルアシスタンス制度を実施している。この研究成果を分析することを通して、自己管理型の意思決定支援の特徴と課題を明らかにしたいと考えている。
2025年度は、カナダのパーソナルアシスタンス制度の歴史・制度・支援の実態についてインタビュー調査や文献調査の結果に依拠して、整理する予定である。カナダも自己管理型の意思決定支援の形態を発展させており、とりわけ、ファシリテーターが関与した自己管理型の意思決定支援の形態について調査する予定である。
最終年度は、カナダ・スウェーデン・日本のパーソナルアシスタンス制度の国際比較を行い、研究の問いに対する解を明らかにしたいと考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 障害者権利条約第19条の総括所見を受けて ―自立生活および地域社会へのインクルージョンの実現に向けて―2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 雑誌名

      さぽーと

      巻: 794 ページ: 40-45

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 障害者権利条約第19条の総括所見を受けて ──自立生活および地域社会へのインクルージョンの実現に向けて──2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 良
    • 雑誌名

      さぽーと

      巻: 794号 ページ: 40-45

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 障害者権利条約における脱施設化の概念・政策・運用面の課題についての一考察2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 雑誌名

      評論・社会科学

      巻: 142 ページ: 1-20

    • DOI

      10.14988/00029246

    • ISSN
      02862840
    • URL

      https://doshisha.repo.nii.ac.jp/records/29247

    • 年月日
      2022-09-30
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 知的障害者の脱施設化とパーソナルアシスタンス2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 学会等名
      第19回障害学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 障害者権利条約と脱施設化 ~初回審査に向けて2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 学会等名
      2022年度 全国自立生活センター協議会 総会・セミナー:テーマ「障害者権利条約(CRPD)の建設的対話:より良い総括所見を勝ち取ろう」(ZOOM)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 障害者権利条約と知的障害者の自立生活~グループホームとパーソナルアシスタンス2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 学会等名
      2022年度 京都市居宅介護等事業連絡協議会・総会、京都市ひと・まち交流館
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 国連が日本政府・日本社会に求めるもの(国連勧告について2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 学会等名
      第37回国際障害者年連続シンポジウム 京都市居宅介護事業所等連絡協議会合同企画
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「知的障害者の自立生活を考える」 ―自立と意思決定の支援についてー2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 学会等名
      京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル) 秋の講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 障害者権利条約の初回対日審査 : 総括所見の分析2024

    • 著者名/発表者名
      長瀬 修、川島 聡、石川 准、杉山 有沙、飯野 由里子、関哉 直人、大胡田 誠、堀田 義太郎、新井 誠、桐原 尚之、鈴木 良、今川 奈緒、中川 純
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      法律文化社
    • ISBN
      9784589043078
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 障害学の展開2024

    • 著者名/発表者名
      障害学会20周年記念事業実行委員会
    • 総ページ数
      496
    • 出版者
      障害学会
    • ISBN
      9784750357218
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 世界の社会福祉年鑑2022(「Ⅱ障害者福祉」担当)2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木良(共著)
    • 総ページ数
      436
    • 出版者
      旬報社
    • ISBN
      9784845117901
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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