研究課題/領域番号 |
22K01996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 大阪保健医療大学 |
研究代表者 |
森本 かえで 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (40625612)
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研究分担者 |
四本 かやの 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (10294232)
藤本 浩一 兵庫医科大学, 看護学部, 准教授 (20467666)
橋本 健志 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60294229)
遠藤 加菜 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (60584696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 防災 / 防災教育 / 精神障害者 / 発達障害者 / カードゲーム / 文献レビュー / 要配慮者 / 精神障害・発達障害 / 学習ツール / 生活再建 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,大規模自然災害が増加傾向にあり精神・発達障害者を含む要配慮者の死亡率は要配慮者以外と比べて2~3倍となっており,主体的な防災行動を取ることが求められている.障害者が災害に対応するためには平時からの継続的な防災の備えが重要である.しかし,医療・保健・福祉現場や地域において障害者が容易に使用できる防災ツールはない.本研究は,自ら情報を取捨選択し利用していくことが困難な精神・発達障害者の防災意識ならびに防災行動の主体性向上を目指し,防災や安全危機管理対応を取ることができる学習ツールの開発を行う.精神・発達障害者の不安を低減し安全に使用でき,どこの施設でも利用しやすい学習ツールの開発を行う.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,精神・発達障害者の障害特性をふまえ,防災意識を高め,災害時における主体的な防災行動が獲得できるように支援することである.具体的には,感染症対策を含んだ防災対策の第一段階として,精神・発達障害者が使いやすい防災/感染症対策の準備性を学ぶ防災カードゲームの開発し,有用性を検討することである.まず障害者に特化したカードゲームは存在しないことが確認されているものの(森本,2019),一般向けにはカードゲームによる防災教育が推奨されており,その効果が認められている. そのため,一般向けのカードゲームの事例を調べ,障害者への適応やその方法を検討する.本年度は,障害特性に配慮して設計はされいない一般的な防災カードゲームの実施例および開発例に関する文献レビューをPRISMAに従って実施する. 文献の検索にはpub-med,medline,医学中央雑誌やCiNiiなど医療福祉教育系のデータベースと,国土交通省データベースを筆頭に防災に関する研究を継続的に行っている学会が出版している学術論文集(地域安全学会,日本災害情報学会,日本地震工学会,土木学会,日本建築学会,防災教育学会など)を参照(鈴木,2022)する.「防災」,「災害」,「カードゲーム」,「かるた」「トランプ」などをインデックスとして阪神淡路大震災以後防災教育が活発化した1995~2023年までとした.災害や防災は,地理的背景や文化的背景の影響を受けるため,日本人を対象とした論文の検索・分析を予定している.本研究における災害の定義は災害対策基本法の定義を採用した. その中で,一般の防災カードゲームを実施した事例や開発例の有無などを検討する.これらを踏まえ,2023年度は第二段階としてレビューで特定されたカードゲームを実際に精神・発達障害者を担当している専門職等に実施・使いやすさや使いにくさの検証も行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の対応として,臨床実習に関する実習受け入れ先との調整及び,代替学内実習プログラムの新規構築等の教育に関する対応,学生に対する支援等に多大な時間を要した.その結果,研究時間が大幅に減少したため研究計画が遅延している.本年度は,PRISMAに従って,文献レビューの計画の詳細を立てた.研究タイトルは,「日本における防災カードゲームの開発例(種類と内容)とその実施状況に関するレビュー」や目的,スクリーニング基準,適格基準,データベースの選定,検索語の選定まで実施した. 本レビューの目的は,精神・発達障害者向けの防災カードゲーム実施開発を目指し基礎データとして一般的に市販されている防災カードゲームの実施例および開発例を検索し知見を集約することである.文献のスクリーニング基準は,阪神淡路大震災以降防災教育が活発になってきた期間で出版年が1995年以降2023年(検索日まで)であること,論文の種類は問わない(会議録なども含む),災害の種類は問わず防災に関する文献であることである.文献選定における適格基準は,日本人を対象とした文献のみ(防災に対する対応は文化の影響を受ける,土地柄の影響により災害の種類や規模が異なる)であること,防災に関するカードゲームであることである.検索語は,「カードゲーム」「かるた」「トランプ」と「防災」「災害」「安全危機管理」などを想定している.これらの検索語を元にこれから,検索式を作成し,検索を行う予定である. また,申請課題に関連する「防災カードゲーム概要」についても世界作業療法学会で報告した.
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今後の研究の推進方策 |
開発するカードゲームの効果検証方法について再検討を実施する.その上で,2023年度後半に,カードゲームの課題抽出方法の検討を実施し,防災教育の効果検証方法や教育カードゲームの効果検証方法を元にアンケート(カードゲーム実施時間,教育効果など)を作成する.病院や施設に勤務する精神・発達障害者の担当作業療法士や精神保健福祉士,社会福祉士,看護師などを対象に文献レビューにおいて抽出された一般向けのカードゲームを実施していただき,既存の防災カードゲームの課題等に関するアンケートに回答協力してもらう.加えて,ゲーム前後のストレスチェックを実施し統計解析を実施する.ストレスチェックには疲労ストレス計VM302を用い,これは心拍変動解析による自立神経機能評価を行い,カードゲームに対するストレス状況を定量化するものである. 2024年度後半に,課題を踏まえ精神・発達障害者向けの防災カードゲームのパイロット版を新たに開発する.その後,パイロット版について前述の病院施設に勤務するスタッフに試験運用してもらいその後,精神・発達障害者を対象に試験運用を行う.試験運用前後に,アンケート調査(①レジリエンス向上のための災害準備性チェックリスト(堤他,2019);②防災意識尺度(島崎他,2017);③カナダ作業遂行測定(COPM);④疲労ストレス計VM302による自律神経機能評価)にて改善点に関するデータを収集し,改善したカードゲームを改訂版として開発する.その改訂版を精神・発達障害者を対象に運用し同様のデータを取得,分析する.
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