研究課題/領域番号 |
22K02007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
山口 理恵子 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (90582263)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 成年後見制度 / 権利擁護 / 日常生活自立支援事業 / 意思決定支援 / 苦情解決 / 成年後見 / 障害者権利条約 / 民法改正 / 身上保護 / 苦情対応 / 中核機関 / 福祉サービス |
研究開始時の研究の概要 |
第三者後見人の増加にともない特に後見人等の行う身上保護の内容に対する苦情が増加している。しかし後見人等の業務のうち、財産管理と違い身上保護には明確な法的根拠や基準が存在しない。他方、社会福祉サービスの分野では、社会福祉法に基づく苦情解決制度が存在する。そこで本研究では社会福祉サービスにおいて、苦情解決に効果を発揮している対応や手続きを可視化し、ソーシャルワークの視点にもとづく成年後見制度の苦情解決システムを考案する。さらに後見人等に対する身上保護の基本ガイドラインを作成し、これを遵守しない後見人等の柔軟な交代を可能にする。
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研究実績の概要 |
成年後見人等をめぐる動向として民法改正による有期の後見制度の導入が議論されている。法定後見制度を本人に必要な法律行為の場面に限り限定的な利用とすることは、障害者権利条約の総括初見を踏まえたものであると考えられる。他方で法律行為の代理の必要性はなくなったが、依然として判断能力を欠く状態にある本人の後見を終了させた後に、どのような制度やサービスの下で本人を消費者被害等から守り、見守りを含む必要な支援を提供するのかは依然として課題とされている。これに対し現在市町村と中心とする中核機関と地域連携ネットワークによるチーム支援の重要性が着目されている。しかし、チームの中には後見人等をはじめ、福祉サービス事業者、行政機関、社会福祉協議会、専門職団体、金融機関、家庭裁判所等多様な組織があり、チームのメンバーの同士であっても双方が対峙する場面は生じるため、本人の利益のために支援者が適切なアドボカシーを発揮することが必要となる。 そこで令和5年度は成年後見人を受任している社会福祉士に対するアンケート及びインタビューの計画を立てた。着眼点は3点である。社会福祉士後見人が本人の利益のために ①行政機関と対峙、交渉、弁明を行う場面 ②施設、医療機関を含む福祉サービス等事業者に苦情や説明を申出る場面 ③身上保護における事実行為を中心に本来後見人等の義務とされていない行為を行わざると得ない場面、 ①②については法制度に基づく公式な交渉や不服申立て、苦情申出と非公式な苦情や改善要求、交渉等に分けて調査を行った。さらに後見事務の遂行に際し具体的にどのような場面でそれが発生するか、その際必要となる専門性には何かついて調査を実施した。ある程度のデータが収集できたため、令和6年度中に分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
後見人等に対する苦情については国の専門家会議の動向をふまえ、苦情対応のスキームについてある程度方向性が明らかになるまで待ち、上述した調査を実施することを計画した。また調査内容について倫理審査を通過するまでに至るまでに一定程度の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート結果を分析し、社会福祉士後見人等が本人のために他機関と対峙する場面においてどのような専門性を発揮しているのかを明らかにする。さらに同意が得られた後見人等にインタビューを実施する。 この結果をもとに現在議論が行われている有期の成年後見制度と地域住民を担い手とする持続可能な権利擁護支援事業によって本人に対する支援が十分に提供可能か、問題となる点はあるか、問題を解決するための方法はあるか、について検討を重ね新たな見解を見出す。
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