研究課題/領域番号 |
22K02044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
塚田 典子 日本大学, 商学部, 教授 (10322497)
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研究分担者 |
西村 淳 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (20746523)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | EPA介護福祉士候補者 / EPA介護福祉士 / 日本への定着 / 社会保障 / 外国人介護労働者 / 技能実習生 / 外国人労働者受入れ施設 / 定着 / 介護技能実習生 |
研究開始時の研究の概要 |
日本政府はこの数年で、外国人介護労働者の受入れ制度を増やし、在留資格を切り替えれば最長10年間日本での滞在を可能にした。それにともなって、外国人介護労働者の生活者としての権利である、社会保障に関する実態把握は避けては通れない課題となった。 本研究は、外国人介護労働者の日本への定着に関して、年金・医療を中心とする社会保障という新しい視点で分析する。具体的には、アンケート調査を実施して、彼らと雇用主(施設長)の社会保障に関する知識や意識のギャップ、医療サービスや年金制度に関する知識および利用実態、社会保障手続機関での外国人への対応、さらには社会保障協定に関する知識について実態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、EPA介護労働者が働く職場・生活環境や社会保障に関する知識、医療サービス利用の実態等を調査し、どの様な要因がEPA介護労働者の日本への定着に影響するのかを把握することを目的とした。2017年から6年間で、インドネシア、フィリピン又はベトナムからEPA介護福祉士候補者を雇用した全国の高齢者施設の施設長とEPA介護労働者を対象に、全数調査(727施設)を実施した。調査期間は2023年11月7日~12月8日の約1ヵ月で、学内研究倫理審査委員会の承認を得て行った。本調査は無記名で郵送とWEB調査を併用した。有効回収率は施設長17.2%(N=124)、EPA介護労働者は5.5%(N=395)であった。 主な調査結果は、どの国のEPA介護労働者も健康保険についての理解度が最も高く、社会保障に関してはインドネシアが最高でフィリピン、ベトナムと続いた。また、社会保障協定については、日本と協定を結んでいるフィリピンのEPA介護労働者の理解度が最高で、厚生年金の「脱退一時金」については、EPA介護労働者の方が施設長より理解度が高かった。また、50%のEPA介護労働者が日本に「定着したい」と回答していた一方で、施設長は85%以上がそう願っていた。EPA介護労働者側の日本への定着要因は、「職場の同僚や上司との人間関係」が最も大きく、次に「入国前教育の徹底」「国家資格取得後の家賃補助」であったが、施設長側は「母国に残した家族の問題」が最多で、「長期休暇の取得」「日本語のコミュニケーション能力」で、両者の意識には差が見られた。なお、施設長の自由回答の中で、定着には介護職の賃金アップ・手当の充実、国家試験複数回受験の実施、資格取得後の田舎から都市部へ転居を防ぐ為の育成施設での一定期間の就労義務化等の意見が出された。3月末に本調査結果ダイジェスト(32頁)を希望施設へ郵送した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R5年度は、R4年度に行う予定であった、EPA介護労働者受け入れ施設の施設長とEPA介護労働者の両者を対象とした2種の全国調査を、所属機関の研究倫理審査を経て11月初旬~12月初旬に、1年遅れたものの完了した。その後、回収された調査票のエディティング、データ入力、WEBデータとのデータマージそしてクリーニング等の一連の作業を行った後、記述統計分析を行い、研究調査報告を作成した。また、研究倫理審査申請書に明記した通り、調査協力者への御礼として、希望する施設長宛に、調査結果のダイジェスト(32頁)をカラー版で3月末に郵送し、一連の計画目標を達成した。 この様に、R4年度(研究1年目)に計画されていた調査を1年遅れでR5年度(研究2年目)に実施したため、本研究補助金申請当初の計画に照らし合わせると、2年目(R5年度)に計画していた、介護技能実習生や介護特定技能の労働者を調査対象とした全国調査が、当初の計画に比べると1年遅れることから、「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最終(R6)年度は、1年遅れではあるものの、研究補助金申請当初の計画に基づき、外国人介護労働者の定着に関する調査を、調査対象者を広げて、在留資格「特定技能1号」で働く介護労働者を対象に、彼ら/彼女らが働く職場・生活環境や社会保障に関する知識、医療サービス利用の実態等を調査し、どの様な要因が介護特定技能労働者の日本定着に影響するのかについて把握することを目的とする。なお、補助金申請時は、介護技能実習生を対象とした調査も考えていたが、R5(2023)年11月に「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書」が出され、それを受けて、技能実習制度は「育成就労制度」として「特定技能」制度に移行していくことがR6(2024)年3月に閣議決定されたため、当初の介護技能実習生を対象とした調査は割愛し、介護特定技能の労働者のみのを対象とした調査を行う。対象の国は、入国者数が多い国から順に、インドネシア、フィリピン、ベトナム、そして、予算が許せばミャンマーやネパールからの特定技能介護労働者を対象者に含めて調査を行う予定である。
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