研究課題/領域番号 |
22K02046
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
渡邉 浩文 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (50383328)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 認知症 / 意思決定支援 / 居宅介護支援 / プログラム評価 / ケアマネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、居宅介護支援を社会プログラムと捉え、プログラム評価の考え方に沿って、その具体的な実施プロセス(プロセス理論)やその効果(インパクト理論)、本プログラムを効果的に進めるための要素(効果的援助要素)およびそのプログラムの評価方法を構築する。具体的には、大島らが提唱した実践家参画型エンパワメント評価(CD-TEP法)の手続きを用いる(大島他(2019))実践家参画型エンパワメント評価(CD-TEP法)は、第1~12のSTEPから成り立っており、研究期間内では、第1~6STEPまでの第1次効果モデル(試行版)の開発を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は、認知症の人への居宅介護支援の実施における「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」に示された意思決定支援の手続きの実施状況等について質問紙を用いた調査を行った。調査票の作成にあたっては、都内の介護支援専門員、認知症ケア及びプログラム評価の学識経験者からなる検討委員会を組織した。 調査は、都内の介護支援専門員を対象に、インターネットを活用して行った。調査は2023年5年1月27日~2月27日に実施した。ガイドラインに示された内容をもとに作成された意思決定支援の手続き等に関する項目について、「十分にできていると思う」~「不十分であると思う」の4件法で尋ねた。また、当該項目について回答した際に想定した利用者の状態像と、支援が困難と感じた具体的な状況について尋ねた。 アクセスのあった227件のうち、未完了のサンプルを除いた165件を分析対象とした。意思決定支援の手続き等に関する項目では、「概ねできていると思う」に回答が集中する傾向がみられたが、「やや不十分であると思う」と回答したものが全体の20%を超えていた項目の回答傾向をみると、特に意思決定能力の評価や、その手続きに関する項目であった。また、困難状況としては、「独居のため、日中や夜間の客観的な様子がわからない(情報収集ができない)」「危険があるにもかかわらず料理や散歩など、本人の生活様式や生活行動をやめてもらうことができない」等の項目に60%以上の回答者がチェックしていた。 介護支援専門員は概ねガイドラインに沿う形でケアマネジメントを展開していることが示唆された。一方、意思決定能力の評価やその手続きに関する項目については、やや不十分と感じている介護支援専門員がおり、その具体的な手続きやプロセスについて可視化し、研修棟を通じて標準化を図っていく必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に実施した調査は、「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」に示された意思決定支援の手続きの実施状況等についてを明らかにすることを目的としていた。一方、本研究の背景の1つにあるように、当該ガイドラインは居宅介護支援のみを対象としたガイドラインではないため、同ガイドラインの内容を理解したうえで、居宅介護支援を行う介護支援専門員が理解できるような形で調査項目に落とし込んでいく必要ある。そのため、調査項目作成の段階から、都内で活動する現役の介護支援専門員に検討委員会のメンバーとして参加をしてもらい、ガイドラインの内容を学んだうえで項目の内容についての検討を行っていくという手続きをとった。ガイドランの内容を調査項目に落とし込んでいくうえで介護支援専門員の視点から見たときに具体的にどのような手続きなのか解釈が難しい項目や、重複と思われる項目、さらに調査項目数が膨大な数に上ってしまう、回答に倫理的なバイアスがかかり、回答が肯定的な評価に偏りをみてしまうなどの問題が発生し、複数回の検討委員会を通して項目の文章、回答カテゴリーの表現などの検討を繰り返した。その結果、ある程度調査票の形ができあがり、調査協力機関への依頼、倫理審査手続きなども全体として遅れる形となってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、大島らが提唱した実践家参画型エンパワメント評価(CD-TEP法)の手続きを用いる(大島他(2019))。実践家参画型エンパワメント評価(CD-TEP法)は、第1~12のSTEPから成り立っており、研究期間内では、広域的調査によるモデル検証を行う手前までの第1~6STEPまでの第1次効果モデル(試行版)の開発を行う。 2023年度では、2022年度に実施したニーズ調査の結果をふまえ、介護支援専門員等の参画によるワークショップ(以下、WS1)を開催し、問題状況・ニーズの分析、当該ケアマネジメントの対象及びゴールの設定を行う(プログラムスコープ)(第1STEP)。次に、実践家・研究者からなる評価チームを形成し、本プログラムが評価可能かどうかの評価可能性アセスメントを行う。そのうえで、インパクト理論、プロセス理論を暫定的に定め、予備的効果モデル(暫定版)を作成する(第2STEP)。また、好事例(以下、GP事例)調査のインタビューガイドを作成する(第2STEP)。インタビューガイドでは、認知症の人の意思決定支援にかかわる創意工夫、実践上の経験値等、効果的な取り組みを形成する要因を明らかにすることを目的とする。これらの作業のためにWS2を実施する。GP事例調査(第3STEP)を実施した後、WS2で得られたデータを含めて分析を行い、第1次効果モデル(試行版)として、1効果モデルのゴールと達成過程を示す支援ゴール及びインパクト理論、プログラムゴールを実現するために有効なプログラムの実施計画となるプロセス理論を作成する。加えて、効果的援助要素リストの抽出を行う(第4STEP)。
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