研究課題/領域番号 |
22K02064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
安部 幸志 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (90416181)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 高齢者 / 社会的孤立 / 精神的健康 / 介護 / 家族介護者 / 孤独感 / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、認知症カフェへの参加が、過疎地域に住む高齢者の社会的孤立感と精神的健康にどのような影響を与えているのか検討することを目的としている。 認知症カフェに参加することによる効果を実証的に捉えた研究は少ないため、本研究では補助事業期間を通じた縦断的調査を行い、高齢者の認知機能、社会的交流、精神的健康について総合的かつ包括的な分析を行い、認知症カフェに参加する意義について、実証的な観点から検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は3点ある。第1の目的は高齢者を対象とした縦断的調査を行い、新型コロナウイルス感染症が高齢者の社会的孤立に及ぼす影響について検討することである。第2は、認知症カフェに参加する高齢者を対象とし、認知症カフェへの参加回数やその中での交流が社会的孤立と認知機能に及ぼす影響について明らかにすることである。第3は、社会的孤立の主観的・客観的な側面をそれぞれ測定し、交流内容や精神的健康との関係について明らかにすることである。 本年度はこれらの目的のうち、認知症カフェへの高齢者および介護者の参加状況を調査し、介護者の精神的健康および介護ストレスとの関連について分析を行った。調査はウェブ調査を用いて、現在日常的に在宅で介護を行っていると回答した247名を対象とした。その結果、対象者のうち、介護者および被介護者の両方とも認知症カフェを利用したことがあると回答した者は10.1%であり、被介護者のみが利用したことがあると回答した者は4.5%、被介護者は利用したことはなく介護者のみが利用したことがあると回答した者は2.0%であった。 次に、これら認知症カフェの利用経験がある介護者と利用経験がない介護者との比較分析を行った。詳細な分析は次年度に引き続き行う予定であるが、単純に比較すると認知症カフェの利用経験がある者の方が精神的健康度が有意に低く、また孤独感が有意に高いという結果が得られた。本研究対象者に認知症カフェ利用者が比較的少数であったため、慎重に解釈を行う必要があるが、この結果は精神的な悩みを抱えている者や孤独感が高い者ほど認知症カフェのような地域での交流を求めていることを示していると考えられる。次年度においては、本研究結果から得られた知見を元に、縦断的調査データを用いて、さらに詳細に検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は要介護高齢者の家族介護者を対象とした認知症カフェの利用に関するウェブ調査を実施した。スクリーニング後に一般的な家族介護者を対象とした分析を行うには十分な対象者数を確保することが出来たが、そのうち認知症カフェの利用者数は16%程度と少数であった。次年度はこの利用経験のある家族介護者を対象とした縦断的調査データを用いて検討する予定であるが、少数のデータを用いて検討することになるため、分析に限界があることは十分考えられる。しかしながら、認知症カフェを利用することによる介護者と要介護高齢者への効果についてこれまで実証的に検討された研究は少ないため、限られたデータであっても社会的な意義は大きいものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では感染対策のために認知症カフェが開催されない状況が続いているため、ウェブ調査を主としてデータを入手し、分析を行っている。しかしながら、過疎地域における認知症カフェ開催実績がある自治体も増加傾向にあるため、十分な感染対策を講じた上で、対面での調査可能性を探り、大規模調査データに加え、過疎地域での対面調査によるデータを用いた検討も行いたいと考えている。
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