研究課題/領域番号 |
22K02086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
今川 朱美 広島工業大学, 工学部, 准教授 (10399751)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 生活行動 / 移動ニーズ / 地域の持続可能性 / 小さな拠点 / 高齢者 / 生活インフラ / 次世代モビリティ / 高齢化 / 地区拠点づくり / 中山間地域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中山間地域の生活を支えるインフラの持続可能性を、主として土木計画学、建築計画学の視点から捉えていくものであり、複眼的な学術領域から超高齢社会のあり方を捉える調査研究である。対象地域の高齢者にGPSロガーを装着しながら行動してもらい、シームレスにデータ収集を行う。収集データより、行動パターンの分析を行い、移動ニーズから生活インフラの利用頻度や利用施設が明らかになり、生活インフラの拠点集約が検討可能となる。地域内拠点、サブ拠点、集落拠点と段階的整備を検討し、それらをつなぐ域内交通ネットワークの再構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、中山間地域の生活を支えるインフラの持続可能性を、主として土木計画学、建築計画学の視点から捉えていくものであり、複眼的な学術領域から超高齢社会のあり方を捉える調査研究である。対象地域の高齢者にGPSロガーを装着しながら行動してもらい、シームレスにデータ収集を行う。収集データより、行動パターンの分析を行い、移動ニーズから生活インフラの利用頻度や利用施設が明らかになり、生活インフラの拠点集約が検討可能となる。地域内拠点、サブ拠点、集落拠点と段階的整備を検討し、それらをつなぐ域内交通ネットワークの再構築を目指す。 本年度は、海田町内の旧街道(山陽道)沿いの6集落を対象とし、調査分析を行った。旧街道は道路が狭くうねりがあるため、対面通行が困難であるにもかかわらず、抜け道利用されているため集落外の車による渋滞が多発している。そのため集落在住の高齢者は徒歩による移動を強いられ、他の地域とは異なる生活形態を見せることが分かった。また、旧街道沿いにあった庁舎が移転となったことから、住民の目的地が異なり移動ルートが変化した状況とリアルタイムで記録に残すことができた。また、移動ニーズと移動軌跡から、交通安全上問題のある箇所も浮き彫りとなり、成果を自治体に提供することにより、今後の町政に役立てられることとなった。 海田町ではウォーカブルタウンを推進しようとしていることから、歩く視点での道路網の整備や、高齢者に求められている休憩場所(災害時を考慮したかまどベンチの設置)の整備、今後事業計画をはじめることとなる庁舎跡地の利用についても、本調査結果より、周辺に公園施設が皆無であることから、公園への転用が望ましいとの成果報告を行い、導入を検討されることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、海田町内の中山間地域での調査実施を果たし、今年度は同町内の旧集落(旧街道沿いの6集落)で同様の調査を実施した。中山間地域に暮らす高齢者の生活行動の特性や、移動手段などの特性を浮き彫りにすることができた。2022年度の研究成果報告会を海田町が開催してくださり、海田町町長はじめ関係部署管理職の方々を対象に、調査報告とその評価分析結果、その上で町内循環コミュニティーバス(ふれあいバス)のルート変更などを提案した。この件に関しては中国新聞(2023年4月13日20面)に掲載された。提案を受け海田町では2023年9月18日よりふれあいバスのルート変更などを実施してくださった。 2023年度は同様の調査を旧集落で行ったところ、生活行動だけでなく、移動手段に特性があり、これまでの中山間地域の特徴を浮き彫りにすることができた。旧集落では道路が狭く離合が難しいこと、また、生活利便施設に近いことが多いため、移動手段に車ではなく徒歩を選ぶ傾向にある。昨年度に引き続き研究成果報告会にて、生活行動と移動手段などから、その特性を生かした地域整備を提案した。 さらに本年度は、海外への事例調査も実施できた。初年度はコロナの影響もあり渡航できず事前調査を入念に行っており、EU諸国での現地踏査を効率よく行うことができ、大きな成果を上げることができた。 ただし、昨年度夏季休暇中に予定していたアメリカでの調査が実施できていない。土木学会全国大会のホストとなったこともあり、その準備などのため日程が取れなかったことに起因している。また、コロナの影響もあり先方施設などへの訪問許可が得られなかったことも、来年度へ先送りにする決断となった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、実施できなかったアメリカへの調査を、最終年度である本年度の夏季休暇中に実施したいと考えている。アメリカでは、特定地区における高齢者の生活状況についてヒアリング調査を行いたいと準備をしている。文化的背景が異なるものの生活行動への類似性が見られれば、高齢者特有の行動パターンが見いだせると考える。また、アメリカにおいて、高齢者にとって有益な対策を講じているのであれば、日本国内の高齢者福祉制度への導入可能性について検討したい。 また、2023年度に実施した旧街道の高齢者の行動調査と移動ニーズの検証より、中山間地域の生活行動の特性を浮き彫りにするためにも、環境や状況の異なる地域で高齢者を対象とした調査をすることが有用であることが明らかになった。そこで、本年度は、同町の新興住宅地での調査分析を計画している。本研究は地域住民の方と対面しての調査であり、地域自治体の協力も必須であるが、本研究の対象地としていた海田町の町長が交代となられ、また、庁舎も移転し、行政組織の改編もあったため、協力を得にくい状況となっている。調査を円滑に行うための対策を講じなければならない状態であが、幸い、同町内の中山間地域と旧集落の自治会との協力関係が築けたため、住民への直接的アプローチによる調査も可能ではないかと考えている。
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