研究課題/領域番号 |
22K02105
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
品川 英朗 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (60551067)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 咀嚼・嚥下 / MRI / 生理学 / 栄養学 / 生体医用工学 / 摂食・嚥下 / 生体医用画像工学 |
研究開始時の研究の概要 |
今回の目的は、MRI動画記録法を用いて、時間軸も含めた4次元計測に挑み、有用なデータを採得することである。嚥下内視鏡検査やX線ビデオ嚥下咽頭食道造影検査を利用した口腔咽頭領域における嚥下調整食やとろみ食の流動特性についての研究は多々あるが、被曝等の問題から、健常成人を被検者として実験を行うことは、倫理上、好ましくないとされている。本研究では、非侵襲的で被曝の問題もないMRI動画記録法を用いて、ゲル化剤・とろみ剤によるとろみ食の物性変化や流動特性に関して、in vivoで可視化するとともに、MR画像を立体構築することにより、時間軸も含めた4次元計測を試みたい。
|
研究実績の概要 |
時間軸も含めた4次元画像解析を行った。具体的には、①MRI動画の画像解像度および画像枚数について再考し、最大撮像枚数(25.6fps)での撮像を試みた。②画像の信号強度(S/N)を上げるために、濃度が異なる鉄(Fe)を含む飲料水に、とろみ剤・ゲル化剤でとろみをつけて、画像撮像ならびに画像の再評価を行った。③動画記録のための画像撮像の位置およびスライス厚について検討した。具体的には、嚥下時の口腔咽頭領域における流動評価を行うために、矢状断面および冠状断面の2方向での位置決めとスライス厚(1.5mm~3.0mm)で実験を試みた。4次元画像構築のため、スライス厚がどこまで許容できるかが今回のプロジェクトの最大の課題であった。厚みを増やせば増やすほど、画像の空間および時間分解能が下がってしまうため、スライス厚の比較検討に時間を要した。またスライス厚を最小にして、複数枚画像を撮像して、それを再構築する方法も検討したが、1回嚥下量を正確に設定することが難しいこと、また摂食嚥下の状況や位置が微妙にずれてしまうことから、画像の再構築を行う方法は断念した。X線嚥下造影検査(VF)と同様な矢状断面での位置決め、および嚥下内視鏡検査(VE)と同様な冠状断面での位置決めを参考にして、冠状断面の撮像においては、喉頭蓋をランドマークとして位置決めの調整を行った。④とろみ剤を経口摂取するためのシリンジ・チューブ、あるいはスポイト・チューブの固定方法について再検討し、嚥下する際の量的な考察を行い、1回嚥下量が30mlの場合、クリアな画像のコントラストを得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
MRI動画記録の撮像については、計画通り、順調に行われているが、実験を行っていく中で、様々な課題が生じたため、当初の予定よりも遅れている。具体的には、粘度計を用いた客観的なデータ採得を行う必要性を感じたため、それらを含めて、測定方法について再考した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度が、最終年度となるため、画像データの解析、学会での発表ならびに論文投稿を順次行っていく。 (1)とろみ評価の再検討:主観的な官能評価ではなく、客観的なデータとの関連について評価するために、粘度計を用いたデータ解析を行う。その中で、X線嚥下造影検査の検査時に使用されるバリウムを含んだとろみ調整食と含まないとろみ調整食で、物性変化にどのような違いがあるのか、やはり粘度計を利用して詳細に分析する必要がある。MRI動画記録法の最大のメリットは、とろみ調整食に何も添付せず、そのままの状態で、評価できる点であることから、バリウムを含んだとろみ調整食と含まないとろみ調整食の物性の違いについて詳細に解析を行いたい。 (2)咬合力と摂食・嚥下状態の関係:病院および特養などの高齢者施設に入居中で、摂食嚥下に問題がある患者さんに対して、本研究で行った様々なとろみ剤・ゲル化剤を使った流動評価のデータを提供し、安全で安心に摂食嚥下できるような指導ならびに提案を行いたい。また同時に、顎顔面口腔領域における咀嚼機能について咬合力測定を追加で行う必要がある。咀嚼機能と嚥下機能には大変密接な関係があると言われており、実際に、誤嚥する患者さんの咀嚼機能は低い。デンタルプレスケールを用いた咬合力と摂食・嚥下状態の関連についても検討を行う。 (3)MRI動画記録法撮像時の量的統一:3次元画像に時間軸を加えた4次元評価が可能か否かについて最終的な評価を行う。画像解析をする上で、許容可能なスライス厚の設定を検討する。 (4)学会での発表及び論文投稿:日本栄養改善学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会等で、本研究結果について発表を行い、MRI動画記録法を用いた可視化技術についてその有用性について議論を深めたい。
|